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日本臨床歯周病学会第28回年次大会開催される

 「インターディシプリナリー・アプローチにおける歯周治療の役割」をテーマに,日本臨床歯周病学会第28回年次大会が,6月26日(土)・27日(日)の2日間,国立京都国際会館において開催された.特別講演,Interdisciplinary Session,シンポジウム,ケースプレゼンテーション, 認定歯科衛生士教育講演,ポスター展示とプレゼンテーション,市民フォーラムで構成されたプログラムに,あいにくの梅雨空にもかかわらず,多数の歯科医師,歯科衛生士,歯科技工士が詰めかけた.

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本大会のおもな演者

 歯科医向け会場の特別講演では,小野善弘氏(銀座ペリオ・インプラントセンター)が,「Interdisciplinaryを実践した25年の臨床を振り返って」と題して,予知性の高い治療結果と歯列の長期的安定・維持を目指して用いたapically positioned flapの長期経過提示とその考察を行った.複雑な症例になればなるほどペリオだけでは問題解決ができず,他科との有機的な連携なくしては良好な予後は期待できないという,長年の臨床経験をもとにした言葉には説得力があった.

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メイン会場 

 3パートに分けて行われたInterdisciplinary Sessionでは,Dr.Kevin Murphy(米・メリーランド州開業)が,インプラント,再生療法,矯正治療という幅広い分野において,研究面での豊富な知識と臨床面での卓越した技術を惜しみなく披歴した.Session 1では,インプラント周囲と隣接歯の間の審美的な問題の解決法として,歯周外科のグラフトのテクニック,補綴物のカントゥアー調整による歯肉の形態のコントロール法などを紹介.Session 2では,再生療法に関する文献考察とともに,エムドゲイン,PRP等の生体材料を利用する際の種々の歯周外科のテクニックを,豊富なビデオを交えて紹介.Session 3では,歯周外科により骨代謝を加速させる矯正治療PAOO(periodontally accelerated osteogenic orthodontics)の術式とその効果を紹介した.
 Interdisciplinary Sessionではほかに,Session 1で水上哲也氏(福岡県開業)が,歯周病罹患症例に対するインプラント適応の問題点とメリットデメリットを整理し,奥田裕司氏(大阪府開業)が,インプラント埋入症例における抜歯窩の骨吸収抑制法について紹介・考察した.Session 2では村上伸也教授(大阪大学)が,血小板由来増殖因子FGF-2の開発の経緯と現状を紹介,安藤修氏(東京都開業)が,垂直性骨内欠損の再生条件を多数の文献をもとに考察した.
 コデンタルスタッフ・セッションでは,「認定歯科衛生士教育講演」として,塩浦有紀氏(熊谷歯科医院勤務),大野幸恵氏(まさき歯科勤務),大住祐子氏(貴和会歯科診療所勤務)が登壇.塩浦氏は,「実は難しい軽度歯周炎の治療」と題して,ともすると新人や経験の浅い歯科衛生士に担当させがちな軽度歯周病患者は,患者本人に自覚症状がなく疾患を認識しにくいためアプローチが難しく,術者側のスキルが多分に求められることを解説した.大住祐子氏は,「中程度から重度歯周炎患者を担当するにあたり求められるスキル」と題して,患者が来院時の状態に至った背景や治療への希望を歯科衛生士としてしっかりとコミュニケーションをとることで把握し,歯科医師の治療方針や患者の口腔内の予後を想定しながら治療することの重要性について言及した.大野幸恵氏は「天然歯とインプラントの共存」というテーマで,インプラント埋入後,天然歯と同様セルフケアを徹底しメインテナンスを継続することの重要性と,術者側もメインテナンスごとに患者の口腔内の変化に気づく感性が求められることを解説した.

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 歯科衛生士教育講演演者および座長

 同会場で開催されたシンポジウムでは,「インターディシプリナリーアプローチ」をメインテーマに,南 昌宏氏(大阪府開業),貴島佐和子氏(同院勤務),西村好美氏(デンタルクリエーションアート)がそれぞれ歯科医師,歯科衛生士,歯科技工士の立場で登壇,院内連携について解説した.「インターディシプリナリーアプローチ(interdiciplinary approach)」とは,様々な領域の専門家がチームを構成して,共通の治療目標を持って行う治療のこと.「炎症のコントロール」「力のコントロール」「審美のコントロール」という3点を土台に,南氏は,歯科医師の考えるインターディシプリナリーアプローチとは,治療ゴールを共有すること,プロビジョナルレストレーション,治療順序の理解,共通言語であるX線読影であるとした.貴島氏は,歯科衛生士としては「炎症のコントロール」がポイントとなり,清掃性の高い口腔内環境をつくり,患者にプラークコントロールを定着させることが重要であるとした.西村氏は歯科技工士の立場から,歯科医師との連携による「力のコントロール」への関与を解説.解剖学的形態からみて補綴物をどう制作していくかを,場内の歯科衛生士に向けわかりやすく解説した.それぞれの講演後には三者が同時に登壇し,実際に三者が携わった長期経過症例について,治療の進め方,修復物の形態の決め方,メインテナンスの進め方を交代で述べるという試みもあり,講演後は会場内で熱心な質疑応答が繰り返された.
 コデンタルスタッフ・セッション会場での特別講演は,山本浩正氏(大阪府開業)が,「サクセスフル・メインテナンス」と題して,歯科衛生士がメインテナンスを継続していくうえでの,ものの見方や患者との接し方,歯科衛生士自身が長期経過症例をもつことの意義について語り,満場の歯科衛生士に感銘を与えた.
 市民フォーラムでは,松井徳雄氏(銀座ペリオ・インプラントセンター)が「歯周病と全身疾患の関わり」について,最新の知見をわかりやすく解説し,続いて料理人の陳建一氏による講演が行われた.小野善弘氏の長年の患者でもあるという陳氏は,テレビ番組『料理の鉄人』の裏話などを楽しく披露し,「人が生きるためには,感謝を込めて一食一食をおいしく食べることが必要.そのためには歯を健康に保つこと!」と結んだ.
 次回大会は,2011年7月16(土),17(日),仙台国際センターにて開催される(大会長/江澤庸博氏).

 

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