3月27日(土),28日(日),MY PLAZAホール(東京都千代田区)にて,55周年を迎えたスタディグループ火曜会(主宰:東京都開業・金子一芳氏)の記念講演会が,255名の参加者を集めて開催された.

欠損歯列の様相から緻密な補綴設計を行い,長期経過観察に基づいて臨床を積み上げてきた同会では,歯牙移植や矯正治療を用いた効果的な欠損形態の改変が多く行われている.今回の記念講演会では,例会でも話題に上ることの多い「歯根膜の魅力」をテーマに,3部構成で会員の発表が組まれた.
千葉英史実行委員長の趣旨説明の後,第1部「歯根膜の保存と活用」では,昨年『歯根膜による再生治療』(医歯薬出版)を上梓された下地勲氏が,歯根膜のもつさまざまな機能について解説.続いて,中村輝夫氏,須貝昭弘氏,鷹岡竜一氏,川瀬恵子氏,鎌田征之氏,千葉氏が講演し,矯正治療や咬合誘導,歯周治療を行った症例を通じて,歯根膜を保存し活用するメリットを考察した.
28日の第2部「再植,歯牙移植の適応症と術後経過」では,歯根膜の再生機能を活用できる再植,歯牙移植について,松井宏榮氏,長谷川善弘氏,猪狩寛晶氏,甲田和行氏が豊富な症例を提示しながら講演.下地氏は若手術者向けに歯牙移植導入のアドバイスとトラブル対応について紹介した.
第3部「欠損歯列における歯根膜支持の可能性と限界」では,欠損が進んだ症例において残存歯の歯根膜支持にどこまで期待できるのか,また歯根膜のないインプラントを,残存歯を守るためにどのように活用すべきかについて,須貝氏,設楽幸治氏,斎田寛之氏,筒井純也氏,仲村裕之氏が講演.最後に金子氏が登壇し,長年のパーシャルデンチャー症例の臨床観察から,少数歯残存症例における歯根膜支持の難しさと有益さに言及し,欠損歯列の難症例となりやすい下顎無歯顎を回避するために1本のインプラントを活用することを提案した.
ベテランの会員からは10年を超える長期経過症例が数多く提示され,歯を守って歯根膜の機能を活かすことにより長期に良好な予後を得られることが,詳細な資料から説得力をもって伝わってきた.「歯根膜の魅力」を知ることが歯科臨床の魅力につながることを会として体現した2日間であった.