やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

RECOMMENDATION
 The evolution of clinical-scientific knowledge in the field of orthodontics rapidly modifies the diagnostic and therapeutic approaches,along with new product proposals.
 Today's attention towards prevention and the latest aesthetic trend has taken orthodontics back to a non-extractive therapeutic approach,if possible.
 In this specific area,the book “Non-Extraction Treatment by Molar Oriented Orthodontics”(MOO) collects the experience of the three authors,from diagnosis to therapy,through a vast selection of pictures and clinical cases.
 I am especially delighted to recommend this book,on the basis of friendship and a deep professional respect built overa long and significant clinical and scientific collaboration.
 Doctors Arimoto,Kaku and Sinohara were speakers on the subject at courses organized by the Second University of Naples(Naples,Italy) in 2006-7-8,and also,up to today,at cultural events organized by the Italian Society of Non-Extraction Therapy(SINET).
 Their MOO derives from N.Cetlin's philosophy,updated and non-compliance oriented.
 The concept behind their innovation is the repositioning of the upper and lower molars,which in most malocclusion cases are mesio-lingual rotated,mesial inclined,and lingualized.
 The lip bumper on the lower arch re-balances the lingual and perioral muscles.
 The use of mini-screws connected to the Nance button in the GMD is recommended in order to limit the loss of anchorage,whereas a set of mini-plates connected to the Transpalatal Bar favours molar intrusion in hyperdivergent cases.
 The authors are devotees of the subject,which they approach with seriousness and enthusiasm.
 The book,clearly and fluently written,is up to date and very interesting,aimed at both the young and at the expert professional,and is a definite contribution and enhancement to the orthodontic profession.
 September,2011
 Adolfo Ferro
 SINET President

推薦の言葉
 歯科矯正領域では,臨床的.科学的知識の発展とともに,新しい装置が次々と開発され,診断と治療のアプローチを急速に変化させてきた.しかし,今日の予防歯科への関心と最近の審美的トレンドは,歯科矯正を可能な限り非抜歯のアプローチに戻そうとしている.
 本書『非抜歯矯正治療.Molar Oriented Orthodonticsの実際』は,非抜歯の矯正治療という特徴的な分野において経験と実績を重ねた3人の著者の,膨大な症例とその写真を通してまとめられた,診断から治療に至る集大成である.
 私はこの本を推薦できることをとてもうれしく思っている.なぜなら著者ら3人とは,長きにわたり臨床的.科学的な仕事を共同で行ってきており,友人でありまたプロフェッショナルとしてとても尊敬しているからである.有本先生,賀久先生,篠原先生には2006年,7年,8年にわたってナポリ第二大学の特別講師を務めてもらい,今日に至るまで,イタリア非抜歯矯正研究会(SINET)でも毎年講演を引き受けていただいている.
 彼らのMOOという方法は,N.Cetlinの哲学から導きだされたものであり,患者の協力を要しないテクニックに志向して改善を重ねられた.そのコンセプトの革新性の背後にある概念は,ほとんどの不正咬合でみられる臼歯の近心舌側傾斜とローテーションを,まずリポジションしていくという発想である.下顎のリップバンパーは,舌側と頬側の筋バランスを再構築し,GMDのナンスボタンと口蓋のミニスクリューを固定するのはアンカーロスを防ぐのに推奨できるだろう.また,トランスパラタルバーと口蓋のプレートを使って臼歯を圧下する方法は,ハイアングル傾向の症例に有効である.
 著者たちはこの非抜歯というテーマに真剣に情熱を持って取り組んでいる.本書にはこのテーマの最新の情報が,明瞭に,かつ流れるように書かれており,とても興味深いものになっている.若いドクターからエキスパートまでぜひお読みいただきたい.本書が矯正歯科という領域に貢献し,その幅を広げることは間違いないといえよう.
 2011年9月
 前ナポリ第二大学歯科矯正学講座教授
 イタリア非抜歯矯正学会 会長
 Adolfo Ferro

 非抜歯による矯正治療について,以前から先導的な立場の3人の著者の努力を纏めた労作が本書である.矯正治療に関する教科書的な,あるいは啓発的なものは時折出版されるが,これほど集中的にその理念(本書では哲学)から臨床にいたるroad mapが,見事にかつ詳細に描かれたものは,珍しい.
 矯正臨床の初心者にはやや難解な部分もあり,また例えば「サステイナブル」といった言葉のように,意味がまだ日本語としても定着していない箇所もあるが,新たなhorizonを拓こうとする時には必ずぶつかり,また乗り越えるべき壁である.
 一方,「絶対に抜歯する」と主張する矯正医はいないとは思うが,成人患者の急増という現場では,『抜歯もまた避けられない(C.Case)』傾向になるのも,また事実である.
 抜歯・非抜歯に関わらず,新たな発見が本書の随所に秘められている.例えば時折遭遇する,歯肉のリセッションの自動的?修復など,がそれである.十分に刺激的なヒントだ.
 公的な抜歯論争は1911年にスタートしたが,2011年になってその答えの1つが『非抜歯矯正治療』として日本から発信された.
 世界の矯正歯科界に与える影響は,深く静かに進行するものなので,現時点で測ることは出来ないかもしれないが,非抜歯に関する先達の,N.Cetlin,R.Greenfield両師の業績を凌ぐ力量を思わせる,歴史に残る1冊になるはずである.
 ゆっくり時間をかけて読むに値する,学ぶことの多い著作である.
 2011年9月
 昭和大学名誉教授 福原達郎

 本書の推薦文を依頼されたとき,即座にお受けした.著者の先生達とは以前から面識があり,それぞれに求道的で経験豊富な矯正歯科医であることと,日本非抜歯矯正研究会を立ち上げて研鑽を重ね,今秋にはその第17回総会を開催されるので,これまでの研鑽の軌跡と成果が見事に整理されているに違いないと考えたからである.
 本書は,治療哲学,治療戦略,治療戦術,MOOの臨床,の4編で構成されている.この構成は,矯正歯科の領域ではユニークで新鮮な驚きを与えるかもしれない.しかし,「治療」を「経営」に置き換えてみれば,ごく当たり前の論理過程であることが分かる.優れた企業の経営者なら,しっかりした経営哲学を基盤として,どのような経営戦略を描き,それをどのような経営戦術として展開するかを常に考えているはずだからである.
 最初の「治療哲学」では,文字通り著者らが基盤とする治療哲学が熱く語られている.すなわち子供の成長過程で,理想的な咬合形成のラインから何かの理由でそれた結果として不正咬合という形態変異が起こるので,最初に臼歯の整直と遠心移動を行って臼歯の位置づけを正し,それを基準にして切歯を配列すると広く丸い歯列弓形態が得られ,その正常咬合は安定的に維持されるという.この「治療哲学」が本書の立脚点であり,『非抜歯矯正治療』の起点となるところである.
 読者にはまず「治療哲学」を,最初にしっかりと読んで頂きたいと願っている.
 2011年9月
 鹿児島大学名誉教授 伊藤学而

序文
 本書は『非抜歯矯正治療』というタイトルですが,「非抜歯」矯正について書かれた本ではありません.臼歯を中心とした診断と治療の考え方から詳細なテクニックに至るまでを解説したものであり,TADやフリクションフリー・歯周再生治療などの最新トピックを踏まえたさまざまなカテゴリーの治療例を記したものであり,サステイナブルな視点の歯科治療の哲学について示したものです.
 思えば,非抜歯矯正という言葉はさまざまな感情的反応を引き起こしてきました.
 無診断・素人考え・非現実的・非抜歯ビジネス・患者集め・歴史の振り子・専門医の敵・嫌悪・批判・嘲笑・オプティミスト・原理主義.矯正歯科医の集まりで,90%以上非抜歯などと言おうものなら常にこのような「大騒ぎ」になってしまいます.
 しかしながら,結局のところ,矯正治療で歯を抜かねばならないかどうかという問題は,歯を並べるのに十分な場所があるかどうかという問題に帰結します.場所があれば抜く必要はないし,場所がなければ抜かねばならない.その,場所の問題を本質的に論じた研究はそう多くありません.その中の1つは,井上・伊藤・亀谷らが行った,「咬合の小進化と歯科疾患.ディスクレパンシーの研究」です.
 1992年,横浜で開催された日本臨床矯正歯科医会でディスクレパンシーをテーマに井上直彦先生が講演されたとき,私(有本)は,「現代人が小進化の過程でディスクレパンシーをもつ状態になっているというのはよくわかりました.では,そのような状況の中で矯正歯科医として何ができるとお考えですか?」と質問しました.
 先生は,「何も,ないですね」と即答され,会場はどよめいたのです.
 私は,井上先生にはその意味を十分理解して返答していただいたと思っています.矯正歯科医の仕事はディスクレパンシー状態の現代人のつじつま合わせなのです.言い換えればそれが矯正歯科医のチャレンジです.
 チャレンジの方向は2種類あります.抜歯をしてTooth Materialを少なくするか,歯槽歯列を発達させて十分なスペースをつくるかです.
 Tweedはアーチレングスディスクレパンシーを小臼歯抜歯で解消して,連続性の絶たれた歯列から問題のない咬合をつくる方法を確立しました.
 Rickettsはポステリアーディスクレパンシーの問題を指摘し,佐藤はこれが骨格性不正咬合の成立に関連すると指摘しました.
 一方,MOOフィロソフィーの原点であるCetlinは特にディスクレパンシーについて触れていません.なぜでしょうか.そこにディスクレパンシーが存在しなかったからです.つまり,本書で述べるような,臼歯のリポジションがディスクレパンシーを解消していたと考えられるのです.
 ディスクレパンシーのつじつまを合わせるために,抜歯をしてきちんとした咬合を与えるのが矯正歯科医の仕事ならば,歯槽歯列を発達させてきちんとした咬合を与えるのも矯正歯科医の仕事と言えます.
 本書はそのような,ディスクレパンシーに対する1つのチャレンジについて書かれています.
 臼歯の位置づけを直せば,小臼歯抜歯をせずに済んでしまうことが多いので,結果的に非抜歯となるだけの話.その意味で,私たちのことを非抜歯主義者と騒ぐのは間違いです.本書を読めば,私たちがそんな道徳(Moralist)で歯を抜くなと言っているのではなく,単に臼歯中心主義(Molarist)なのだということがわかることでしょう.
 もう1つのチャレンジとして本書に書かれているのは,矯正治療の目指すべきゴールについてです.
 矯正治療の質は何で評価されてきたでしょうか?審美性と機能性,そして最終的には長期安定性ということが最も重要視されています.そのために,犬歯間幅径を変化させないこと,アーチフォームを維持すること,下顎切歯の角度などが議論されてきたのです.しかしこれはどのような年齢の患者にも言えることでしょうか?どのような患者でも成長・成熟・加齢・衰退というライフサイクルがあり,そのライフステージに応じた個別に理想的な咬合のゴールというのがあるのではないでしょうか?
 そういう意味で,矯正治療のゴールとしては,審美性と機能性と長期安定性だけではバランスが悪く,不十分なように思えます.多くの患者が10代で治療を終えますが,人間の顔はそこからまだまだ変化していきます.そのような状態で,長期安定性ということを“不変”という概念でとらえるのは無理があります.たとえばEirewは早期加齢について指摘しているし,Vanarsdallは狭窄歯列が歯周組織の長期予後に悪影響を及ぼすと指摘しています.また,Roseは抜歯狭窄歯列の症例を歯周再生治療で歯槽骨再生をしつつスペースをつくって非抜歯形態のアーチに戻した事例について述べています.
 そういう観点からは,矯正治療のゴールはサステイナブルなものでなければなりません.サステイナブルという言葉は環境問題などでよく使われますが,長期的に周囲環境と調和し,周りによりよい影響を与え,持続可能性があるということです.原子力発電は,サステイナブルなエネルギーとは言えないからこそ議論されるのです.矯正治療のゴールは,口腔の健康状態を患者のサステイナブルなライフサイクルのライン上にのせることです.矯正治療の終わりは,新しい変化の始まりなのですから.
 本書のベースとなっているテクニックはGreenfieldのCADテクニックです.Cetlinの唯一の弟子である彼が継続的に来日してその詳細なテクニックを指導してくれたからこそ,このようにまとめることができました.ここに,深く感謝の意を表します.また,本書は有本・賀久・篠原の共著です.3人はこの15年間,公私にわたる付き合いの中でさまざまな場所で最新情報を学び,お互いの症例で議論し,知識をブラッシュアップしてきました.本書はどの1人が欠けてもできなかったでしょう.矯正歯科医としてこのような知己をもてたことはとても幸せなことです.最後にこの3人を常に叱咤激励してくれている(株)オーラルケアの大竹さんに感謝したいと思います.
 2011年9月
 有本博英 賀久浩生 篠原範行

はじめに
 不正咬合にはさまざまな種類が存在する.まずはこれらの症例をみていただきたい.
 これらの症例の治療には,マルチブラケットシステム,CAD(coordinated arch development),TAD(temporary anchorage device),RAP(regionally accelerated phenomena),PAOO(periodontally accelerated osteogenic orthodontics)など多くのテクニックを使っている.
 もちろん不正咬合の治療法に唯一というものはない.矯正専門医が診断したとしても,これらの症例の治療法としてさまざまなものが提案されるだろう.どれが正しく,どれが間違っていると簡単にいうことはできない.しかし,ここに掲げた症例の治療に共通するたった1つのコンセプトがある.それが「臼歯のリポジション」という概念である.症例を咬合面からみると,明らかに臼歯の位置づけに変化がみられるということがわかるだろう.これこそが「MOO(molar oriented orthodontics)」という概念に基づいた治療である.
 本書の目的は,
 (1)なぜ臼歯のリポジションが必要なのか
 (2)どのように臼歯のリポジションをするのか
 (3)臼歯のリポジション後に,どのように切歯を位置づけるか
 というようなテーマを多くの症例とともに紹介し,不正咬合の治療においてMOOを適応する重要性を示すことにある.

 『君は全然違う種類のケースをすべて同じ方法で治しているというのかね』
 RG“Wick”Alexander
 2002年,京都にて
 RECOMMENDATION/推薦の言葉(Adolfo Ferro・福原達郎・伊藤学而)
 序文
 はじめに(有本博英)
I 治療哲学(有本博英)
 1 IOOとMOO
  1.Charles Tweed
  2.IOO(incisor oriented orthodontics)
  3.非抜歯治療に対する批判
  4.Norman Cetlin
  5.MOO(molar oriented orthodontics)
 2 MOOとは
  1.不正咬合と臼歯のポジション
  2.不正咬合を再定義する
  3.正しい臼歯のポジションとは
  4.結果としてのアーチフォーム
  5.MOOテクニックにおける治療は2相に分かれる
 3 サステイナブルな治療
  1.MOOテクニックにおける治療目標は?
  2.臼歯のポジションの変化
  3.切歯のポジションの変化
  4.歯周組織の変化
II 治療戦略
 1 One Stage,Two Phase Treatment(有本博英)
  1.臼歯のリポジショニングから切歯のポジショニングへ
  2.遠心移動ができないとされてきた理由
  3.ポステリアーディスクレパンシーはどうなるか?
   1 上顎のポステリアーディスクレパンシー
   2 下顎のポステリアーディスクレパンシー
  4.一時点の資料のみで不可逆的な診断・治療をしない
 2 治療のタイミング(賀久浩生)
  1.治療開始時期についての考え方
   1 すべての永久歯萌出後に治療を開始する
   2 混合歯列期後期に治療を開始する
   3 早期(乳歯列期〜混合歯列期前期)に治療を開始する
  2.早期治療が必要な場合
   1 早期治療の適応
    1 不正咬合が顎顔面の成長発育に悪影響を及ぼすと考えられる場合
    2 早期の乳歯脱落により永久歯列に影響が及ぶと考えられる場合
    3 悪習癖のある場合
   2 その他,早期治療のメリット
  3.混合歯列期後期に治療を開始する利点
   1 患者の協力を得やすい
   2 Eスペースを利用できる
   3 患者の成長を利用できる
   4 治療をワンステージで行える
   5 第二大臼歯が未萌出であるため,第一大臼歯による遠心移動を行いやすい
  4.なぜ混合歯列期前期からファンクショナルアプライアンスを使わないのか?
   1 下顎成長促進の基礎研究
   2 ファンクショナルアプライアンスは上顎前突の治療に効果があるのか?
   3 ファンクショナルアプライアンスは長期の予後に違いをもたらすか?
   4 下顎が自然に成長するならば,なぜ上顎臼歯の遠心移動を行うのか?
III 治療戦術
 1 臼歯のリポジショニング
  1.臼歯のリポジショニング概論(有本博英)
   1 パッシブリポジショニング
   2 アクティブリポジショニング
   3 Coordinated Arch Development
  2.上顎臼歯のリポジショニング 賀久浩生
   1 上顎歯列の拡大を先行させ,後に臼歯の遠心移動をする場合
    1 拡大治療の意義
    2 上顎歯列の拡大に使う装置:Hyrax
   2 上顎臼歯の遠心移動を先行させ,後に上下顎のアーチの幅径コーディネーションをする場合
    1 遠心移動の意義
    2 遠心移動に使う装置
   3 上顎大臼歯遠心移動に影響を与えるファクター
    1 遠心移動の開始時期
    2 上顎前歯の唇舌的角度
    3 下顎前歯の唇舌的角度
    4 小臼歯の歯根の形態や長さ
    5 口蓋の形態や深さ
    6 フェイシャルタイプ
    7 上顎洞の大きさ
   4 TADと上顎臼歯の遠心移動
  3.TPA(transpalatal arch)を用いた上顎大臼歯の3次元的整直(篠原範行)
   1 大臼歯の回転のコントロール
   2 大臼歯のトルクコントロール
   3 大臼歯間幅径のコントロール
   4 大臼歯の垂直的コントロール
   5 大臼歯の近遠心傾斜のコントロール
   6 TPAの製作
  4.下顎臼歯のリポジショニング:リップバンパー
   1 筋を再教育するリップバンパー
   2 パッシブエクスパンジョン
   3 大臼歯の回転のコントロール
   4 垂直的コントロールと大臼歯の遠心へのアップライト
    1 レベル1:最も高いレベル
    2 レベル2:中間の高さ
    3 レベル3:最も低いレベル
   5 リップバンパーの効果
   6 リップバンパー治療のタイミング
   7 リップバンパーの効果的な使い方
   8 リップバンパーはいつまで用いるのか?
   9 セルフリゲーションブラケットにリップバンパー効果はあるのか?
   10 リップバンパーの製作
 2 切歯のポジショニング
  1.切歯のポジショニング概論(有本博英)
   1 臼歯のリポジショニング後の様相
   2 レベリングのタイミング
  2.切歯の圧下(篠原範行)
   1 上顎切歯の圧下と後退
   2 切歯の圧下と後退のメカニクス
   3 犬歯の圧下と側方歯のドリフト,レベリング
  3.ティップエッジブラケット(賀久浩生)
   1 構造的特徴
    1 デュアルスロット
    2 シングルウィング
    3 バーティカルスロットとホリゾンタルスロット
   2 オギジラリーの使用
    1 パワーピン
    2 パワーアーム
    3 サイドワインダースプリング
    4 ローテーティングスプリング
    5 プラスワイヤー
   3 ティップエッジブラケットによる歯の移動の特徴
    1 傾斜可能である
    2 リフトを最大限に利用できる
    3 咬合平面を維持できる
    4 歯冠は根の位置に合わせて整直される
    5 アンカーロスが少ない
    6 アンギュレーションコントロールとトルクコントロール
  4.エッジワイズブラケットとティップエッジブラケット(賀久浩生)
   1 歯の移動様式の分類とブラケットの効果
   2 MOOでティップエッジが有利な理由
  5.切歯のポジショニングとレベリングの実際(有本博英)
   1 前歯だけ装着する場合
   2 すべての歯に装着する場合
  6.オーバーレイメカニクス(賀久浩生)
  7.パワードリフト
 3 Finishingのティップス
  1.サイドワインダースプリング,ローテーティングスプリングとスペースクローズ(賀久浩生)
  2.アトランタルートトルキングオギジラリー(ART)
   1 アーチが拡大されるような力が働く
   2 切歯が挺出されるような力が働く
   3 唇側へのトルク調整の場合,スペースができてしまう
  3.ロッキーのトルキングスプリング
  4.ディスキング
  5.歯肉整形(有本博英)
  6.リテーナー調整(賀久浩生)
IV MOOの臨床
 MOOアプローチについて(有本博英)
  1 成長期の下顎後退を上顎臼歯の遠心移動で治療する
   Case1 GMDを用いた下顎後退を伴う混合歯列期後期のII級1類(有本博英)
   Case2 ACCOを用いた下顎後退を伴う混合歯列期後期のII級1類(篠原範行)
  2 MOOを成人II級症例に適応できるか?
   Case3 効果的に前歯の圧下を行った成人II級2類(篠原範行)
   Case4 顎関節内障による開口障害を伴うII級2類(有本博英)
   Case5 ミニプレートを用いて遠心移動を行った成人症例(賀久浩生)
  3 臼歯のリポジショニングが鍵となるハイアングル・開咬症例
   Case6 ハイプルヘッドギアとMEAを用いて治療した成長期のII級開咬症例(篠原範行)
   Case7 交差咬合と下顎側方偏位を伴う成人III級開咬症例(有本博英)
   Case8 TPAとミニスクリューで垂直的コントロールを行った開咬症例(賀久浩生)
  4 MOOを適応したIII級症例
   Case9 骨格的補正を行った後にMOOを適応したIII級症例(賀久浩生)
   Case10 III級治療におけるインサイザーショーイングの重要性(賀久浩生)
  5 8mm以上の叢生症例であっても最初に抜歯と診断しない
   Case11 保定5年経過した成人の著しい叢生症例(篠原範行)
   Case12 短根歯を考慮してドリフト移動とディスキングにより治療した成人III級叢生症例(篠原範行)
   Case13 臼歯の位置が左右で著しく異なる重度の叢生症例(賀久浩生)
  6 その他の症例
   Case14 非抜歯で上下顎前突をどこまで改善できるのか?(賀久浩生)
   Case15 PAOOとTADを応用したインターディシプリナリー治療(有本博英)
   Case16 アンチエイジングコンセプトに従って治療した重篤なガミースマイル(有本博英)

 Case Index
 文献
 索引

 Column1 不正咬合の治療目標は正常咬合と同じではない(賀久浩生)
 Column2 『Compendium』の人類学論文が示唆するもの(賀久浩生)
 Column3 Tweedの時代に比べて何が変わったか?(有本博英)
 Column4 拡大治療の問題点(賀久浩生)
 Column5 何でもTADで治療しようとする弊害(有本博英)
 Column6 ティップエッジブラケットを使うけれどもティップエッジメカニクスではない(賀久浩生)
 Column7 日本における近年の非抜歯論の背景(有本博英)
 Column8 SECIIIの治療(賀久浩生)