やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 歯科衛生士として,30年あまり仕事をしてきました.
 はじめの4年間は,出身地である神戸の国際デンタル・カミムラ歯科医院で常勤体制の勤務をし,その後,Dr.Raymond.L.Kimのもとで研修を受けたのち,フリーランス体制で多くの歯科医院や障害者センター,企業に勤務しました.
 この数年は,東京都千代田区にある土屋歯科クリニック&works(院長:土屋賢司先生),横浜市港北区にある植松歯科医院(院長:植松厚夫先生)に勤務しながら,インストラクターとして各地でプライベートレッスンを行い,さらにセミナー講師としての仕事をしています.
 この30年の間に,歯科医療界は大きく変動しました.カリオロジーとペリオドントロジーの概念が導入され,予防の重要性が認知されるようになり,修復・補綴治療には審美的な要素が求められ,さまざまなマテリアルが急速に開発されています.また,インプラント治療をはじめ,歯槽骨や軟組織の再生療法が最先端医療として目まぐるしい発展を遂げています.
 歯科衛生士も,かつてはアシスタントワークが業務の中心でしたが,ハイジニストワークが確立され患者さん個人のリスクの把握とその対応が予防対策の基盤になり,歯周治療やメインテナンスを担当することが求められるようになりました.
 新たな知見が数多くもたらされ,情報量も圧倒的に多くなった現在,歯科衛生士としての役割と責任はいままで以上に大きくなり,臨床医学に徹するための研鑽と努力が求められます.
 本書では,これからの歯科衛生士が理解しておくべきさまざまな事項とテクニック習得のための要領を伝えるとともに,ぜひ知っておいてほしい新しい知識についても解説しました.
 本書が,歯科衛生士の仕事を楽しむためのガイドとなることを願っています.
 2008年12月 土屋和子
 はじめに
1章 ハイジニストワークの基本
 1.モチベーションの要領「メリコの原理」
 2.患者さんの心をつかむ会話術「コールドリーディング」
 3.プラークコントロールのセルフチェック─方法と伝え方─
 4.患者さんに伝えたいブラッシングのポイント
 5.さまざまなセルフケアテクニック
 6.ライフステージを考慮したケアを
2章 デブライドメントを始める前に
 1.歯周病の概念と歯周組織を理解する
 2.歯石と歯根表面の性状を知ろう
 3.歯周病検査の要点─視診・触診・X線写真─
 4.プロービングとエキスプローリング
 5.プロービングとエキスプローリングの訓練方法
 6.根分岐部のプロービングとエキスプローリング
 7.デブライドメントテクニックの基本
3章 パワースケーラーの基礎知識
 1.パワースケーラーを使用する前に
 2.パワースケーラーを知る
 3.チップの種類と当て方
 4.タッチとストローク
4章 2本のスケーラーで学ぶ ハンド・デブライドメントテクニック
 1.基本の考え方
 2.ストロークテクニックを高める練習方法
 3.ポジショニングとレスト
 4.デブライドメントテクニック─上顎編─
 5.デブライドメントテクニック─下顎編─
5章 新しい知識を学ぼう
 1.インプラント治療における歯科衛生士の役割
 2.トゥースホワイトニング
 3.口腔と唾液・口腔内液とのかかわり

 本書を読んでくださったあなたへ
 Column
  ・身体の調子を整えるストレッチ&半身浴
  ・免疫力を高める食事
  ・噛むことの大切さ
  ・ミラーテクニック習得のための訓練
  ・医療界での概念「OT&MI」