やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに─歯が割れてしまったら
 ある日,硬いものを咬んだときに歯が割れてしまったら,そして歯科医院に行って相談しても「抜くしかありません」あるいは「様子をみましょう」と言われて,そのうちだんだん悪くなって,最終的には抜くことになってしまう…….
 そんな宣告を受け,それでも「なんとか抜かないですませたい」とホームページなどから情報を得て,相談や治療を求めて当院を訪れる患者さんが大勢いらっしゃいます.
 割れてすぐであれば,多くの場合歯を残すことができます.けれども,神経を取った歯に細かいひびが入って時間がたち,歯の根の部分(歯根)の外側まで割れ目が達すると,骨にも炎症が及び,やがて歯を支えている骨が失われて,歯を助けることが難しくなります.
 歯が割れたことで抜かないですむように,賢い患者さんになっていただきたく,この本をお届けいたします.
 2016年秋
 眞坂 信夫
 眞坂こづえ
 はじめに─歯が割れてしまったら
1 歯が割れてもあきらめないで!
2 こんなふうに治療します
3 治療に必要な一般検査
4 治療に必要な精密検査
5 なぜ歯は割れるのか─力の問題
6 なぜ歯は割れるのか─材料の問題
7 割れにくい治療法の開発
8 接着治療は10年維持が基準です
9 歯根破折で歯を失わない方法
10 どんな歯科治療を選びますか
 私たちの取り組み─あとがきにかえて
 歯根破折歯の接着治療を行っている歯科医院