社会的行動障害への精神心理学的アプローチ・治療 |
|
|
先崎 章 三村 將 |
key words |
社会認知 心の理論 脱抑制 anger burst 認知行動療法 |
|
|
内容のポイントQ&A |
Q1 |
社会的行動障害の背景にある精神医学的仮説は? |
|
(1)社会脳の不全に由来する反社交的・非社会的行動や,(2)情動回路である大脳辺縁系の不全に由来する情動障害が背景にあると考えられる.しかし,これらのみですべてを説明することはできない. |
Q2 |
他者理解のための介入にはどのような方法があるのか? |
|
「心の理論」の直接訓練は,広汎性発達障害でSST,ロールプレイ,小集団作業療法等グループを用いて行われる.個人レベルでは,漫画を用いて事象・状況と感情の関係のシナリオをつくる.前頭葉損傷者にこれらの直接訓練を行う試みがなされてはいるが,代償的技能訓練や認知技能訓練が現実的な方法と考えられる.遂行機能訓練は有効かもしれない. |
Q3 |
衝動コントロールに対する薬物療法にはどのようなものがあるのか? |
|
衝動コントロール,激しい怒りの爆発(anger burst)の予防のための薬物療法は,脳外傷スペシャリストではVPA(valproic acid)を選ぶことが多い. |
Q4 |
衝動コントロールに対する心理的アプローチとは? |
|
機能や気づきのレベルが低いほど行動的アプローチが中心となり,機能や気づきのレベルが高いほど認知的アプローチの導入が可能である.また,anger burstに対する認知的アプローチは,生じるパターンに注目する方法と,帰結に注目する方法とがある. |