酸素療法でのポイント |
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宮本顕二 |
Key Words 在宅酸素療法 酸素濃縮器 液体酸素 呼吸不全 パルスオキシメータ |
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内容のポイントQ&A |
Q1 |
COPDの対応方法は? |
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安静時,体動時にかかわらず室内空気下のPaO2が60 Torr以下,あるいはSpO2が90%以下のときは原則として酸素吸入を開始する.ただし,在宅酸素療法はPaO2 55 Torr以下が絶対適応,60 Torr以下が相対適応であり,異なるので注意する.息切れのみをもって酸素吸入を開始してはならない. |
Q2 |
運動時の酸素吸入は? |
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運動中はPaO2が60 Torr以上を維持できるように酸素吸入を行う.しかし,酸素吸入により,より強い運動ができたとしても,それをもってリハビリテーションの効果が上がるとは限らない.運動中の低酸素血症の評価はパルスオキシメータを使うが,パルスオキシメータのプローブが運動により揺れているときの測定値は信頼できない.プローブを動かさないようにして,かつ,測定値が安定してから読み取る. |
Q3 |
業者側との連携は(旅行,飛行機,ホテルなど,どこまで依頼できるか)? |
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多くの酸素供給業者は旅行先での酸素供給も含め患者の支援サービスを行っている.事前に旅行の許可を医師から得て,その後,業者に依頼する.飛行機を利用する場合,飛行中にPaO2が低下するため在宅酸素療法を受けている患者は酸素吸入が必要である.飛行機のなかで酸素吸入を行うには事前に航空会社へ所定書式の診断書を提出する(鉄道・バス・車は不要). |
Q4 |
安全管理は? |
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患者が注意すべきこと:火気に対する注意が最も大切である.禁煙は当然であるが,なかには隠れて喫煙する患者が少なくない.喫煙しながら酸素を吸入し,いったん鼻カニュラに火がつくとカニュラは一気に燃え上がる.火災による死亡例も報告されている.酸素を吸入しながら火気を使った料理もしてはいけない.
リハ専門職が注意すべきこと:酸素吸入下の運動負荷検査をする場合,検者が携帯酸素ボンベを専用カートで運びながら歩くが,ボンベの転倒事故に注意する.酸素濃縮器の酸素濃度は92〜93%で,決して100%ではない.最近使われ始めた携帯用酸素濃縮器の酸素濃度は90%以下である.携帯用酸素ボンベに呼吸同調装置を装着して使う場合,同じ酸素流量であっても装置ごと(製造メーカーごと)に供給する酸素量は異なる.また,「同調」から「連続流」にスイッチを切り替えると機種によっては「連続流」は常に2 l/分に固定されるものもある. |
Q5 |
症例にみる酸素療法介入のポイントは? |
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在宅酸素療法と肺容量縮小術(LVRS:lung volume reduction surgery)の適応の有無を決める目的で入院したCOPD患者が,術前のリハビリテーションの結果,労作に伴う息切れも改善し,6分間歩行距離も伸び,結局LVRSの適用がなくなった.高度の低酸素血症があっても酸素吸入下に運動療法を行う有用性を提示する. |
栄養療法でのポイント |
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野村浩一郎 |
Key Words 栄養療法 体重減少 BMI FFM グレリン |
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内容のポイントQ&A |
Q1 |
COPD患者の栄養状況は? |
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わが国の調査では気腫優位型COPDのうち%標準体重(%ideal body weight:%IBW)が90%未満の体重減少のある患者は約70%,さらに80%未満の中等度以上の栄養障害をもつ患者は約40%と報告されている.現在,わが国におけるCOPD患者数は530万人以上いると推定されている.栄養障害を合併するCOPD患者は,潜在的に多数存在することが予想できる. |
Q2 |
低栄養とリハ効果,生命予後の関係は? |
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呼吸リハの中心となる運動療法では,栄養療法を強化することにより体重を増加させながら運動耐容能を向上させることができる.反対に低栄養状態では,リハ効果は低いと考えられている.体重減少は呼吸機能障害の重症度とは独立した予後因子であり,体重減少と死亡率には密接な関連が指摘されている. |
Q3 |
栄養介入研究の現状と注意点は?(炭水化物の問題点,栄養か運動か?) |
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栄養療法は栄養障害が進行する前の安定期から介入するべきであり,進行した場合無効となることがある.呼吸商の面で炭水化物の多い食事は二酸化炭素産生を増加させ換気需要を高めるためCOPD患者にとっては不利となる可能性がある.栄養療法と運動療法のどちらを優先させるかは,進行する栄養障害の指標である動的体重減少の有無で判断する. |
Q4 |
新しい治療方法は? |
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摂食亢進作用,蛋白同化作用を有するホルモンであるグレリンの臨床応用は,フェーズ2の段階に入っており,今後COPDの栄養障害の改善に効果が期待される.蛋白同化ステロイドと呼吸リハの併用効果に関しては,いまだ一定した見解には至っていない. |
Q5 |
症例にみる栄養療法介入のポイントは? |
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増悪期は動的体重減少の有無を必ず確認する.進行する体重減少は,COPD自体の悪化を意味する.目標は進行する体重減少を止めることである.
増悪前の体重まで回復させるには数カ月の期間を要するため,長期的な栄養指導を計画する.
安定期は呼吸リハのよい適応であり,栄養療法の併用により運動療法の効果を高めることができる.運動耐容能の改善,BMI,FFMの改善は病態の安定,予後の改善を期待できる. |
呼吸器感染対策でのポイント |
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松島敏春 |
Key Words ガイドライン 気道感染症 抗菌薬 ワクチン 咳 |
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内容のポイントQ&A |
Q1 |
COPDの急性増悪を予防する方法にはどのようなものがあるか? |
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・喫煙者は非喫煙者より,急性増悪をきたす頻度が高い.
・急性増悪の最も多い原因は気道感染症であり,ウイルスによる急性上気道炎,ことにインフルエンザはそれだけでも急性増悪をきたすし,ウイルス感染後に,あるいは,単独で細菌感染を合併し,増悪をきたす. |
Q2 |
COPD患者の気道の細菌感染症に対して,外来ではどのようなタイミングで,どのような抗菌薬を選択することが適正か? |
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・一般的には喀痰が膿性になった時点を細菌感染の合併と考え,抗菌薬の使用を開始する.しかし,高齢者,COPDの進展例,気道感染症の重症例では早期に開始する.
・インフルエンザ菌,緑膿菌,肺炎球菌,モラクセラ・カタラーリスなどが原因菌となることが多い.これらに有効な経口薬はレスピラトリーキノロンである. |
Q3 |
COPD患者の気道感染症による増悪で,鎮咳薬や去痰薬はどのような場合に必要か? |
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・咳は去痰のためにあるので,痰の多い患者の咳を止めることには慎重であらねばならない.
・COPD患者の多量の痰は気流障害をきたして呼吸困難を増悪し,咳を頻発させて体力を消耗させる. |
Q4 |
急性増悪で消炎鎮痛薬を必要とするのはどのような場合か? |
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・咳による肋骨骨折,胸部外傷,腹部術後などで咳が抑制され,去痰不十分となり,急性増悪をきたすことがある.
・気道感染症で体温上昇をきたし,発熱が患者に不利益をもたらすことがある. |