急性期病院でのリハストラテジー(2) 市中病院では |
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寺岡史人 |
key words 後期高齢者 地域医療 早期リハビリテーション 嚥下障害 介護力低下 |
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内容のポイントQ&A |
Q1 |
病院概要,後期高齢者の入院比率は? |
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東信地域の中山間部に位置する,地域医療の最前線を担う.病床数821床で一日平均外来患者数1,800名,平均在院日数16日である.保健予防活動,救命救急,プライマリ・ヘルス・ケアから第三次医療まで行うオールインワンの地域の基幹病院である. 高齢化・過疎化が急速に進んでおり,リハ対象患者の平均年齢は69歳,65〜74歳の患者が19%,後期高齢者は51%を占めている.リハは脳卒中に代表される急性期リハ,40床の回復期リハ病棟での回復期リハ,350名の在宅ケア患者を登録している地域ケア科と連携した維持期のリハを実施している. |
Q2 |
リハ依頼目的・リハ適応基準(非適応)とリハ介入のポイントは? |
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対象疾患では脳卒中,廃用症候群,嚥下障害と肺炎,悪性腫瘍が多い.廃用を最小限に防ぐため,早期からのリハ介入が重要である. 脳卒中の場合,リハ医が毎日始業前から活動し,院内で早期介入のルールづくりをすることで入院翌日からのリハが可能となった.アウトカムを落とすことなく,大幅な入院期間の短縮を達成している.嚥下障害は,高齢者になるほど高頻度で深刻な問題となり,リハ科での評価と治療は極めて重要である.倫理的側面への配慮も重要であり,慎重にゴール設定を行う. |
Q3 |
急性期における後期高齢者リハの課題と展望は? |
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最大の課題は,地域の高齢化と過疎化による介護力の低下と障害高齢者の受け入れ先の減少である.その悪化速度は圧倒的であり,地域の医療崩壊がこれに拍車をかけている.農村においては,もはや箱物をつくって乗り切れる水準ではなく,医療や介護の分野だけで解決はできない.中央・地域行政による物流・交通・町づくりまで含めた総合的施策が望まれる. いますぐに取り組むべき課題は,地域を支える医療・介護分野の人材育成である. |