私たちはこうしている (2)急性期病院における現状と取り組み |
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竹中 晋 |
key words 胃瘻 摂食・嚥下リハビリテーション 急性期病院 地域連携 |
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内容のポイントQ&A |
Q1 |
嚥下障害患者が送られてきたときは? |
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脳外科・脳卒中科の専門病棟に入院した患者に対しては,主治医が直接リハ処方を行うことで,入院早期より摂食・嚥下リハが開始となる.また,脳外科・脳卒中科以外の入院患者では,各診療科主治医からのリハ科紹介のもとに,摂食・嚥下リハが開始となる. |
Q2 |
摂食・嚥下リハの実施状況は? |
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平成19年4月から平成20年3月までの1年間に摂食・嚥下リハを受けた入院患者は876名(脳外科・脳卒中科からの直接処方427名,リハ科医からの処方449名)であった.重症例と軽症例に二極化され,訓練開始時に嚥下障害が重症でも終了時に三食経口摂取可能となる者も多かったが,約4割は経口摂取不可のままであった. |
Q3 |
摂食・嚥下リハを行った胃瘻造設患者の状況は? |
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上記876名のうち,胃瘻の確認できた入院患者は20名であった.8名は入院前に胃瘻造設されており,残り12名は入院中に胃瘻を造設された.訓練終了時に三食経口摂取できていたのは1名のみで,重症例にとどまるものが多かった. |
Q4 |
胃瘻脱却困難な患者とその対応は? |
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全身状態が不安定な患者,誤嚥性肺炎を繰り返す患者,基礎疾患に進行性疾患を有する患者では,摂食・嚥下リハの介入にもかかわらず,胃瘻や経鼻胃管からの脱却が困難となる場合が多い.基礎疾患の専門的治療のもと全身状態・栄養状態を安定化させ,医学的に安全な範囲内で摂食・嚥下リハを進めることが大切である. |
Q5 |
胃瘻造設患者に対する急性期病院での問題点と取り組みは? |
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当院は急性期医療を担っているため,重度嚥下障害を有する胃瘻造設患者は,入院中のみで経口摂取を獲得するのは困難である.院内での多職種による連携,および回復期リハ・在宅医療へと地域連携を図っていくことが重要である. |
私たちはこうしている (4)生きるための胃瘻から食べるための胃瘻へ |
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福本 礼 佐藤央一 |
key words 経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG) 摂食・嚥下障害臨床的重症度分類(DSS)改訂水飲みテスト(MWST) |
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内容のポイントQ&A |
Q1 |
胃瘻造設患者が送られてきたときどうするか? |
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全身状態の把握を行い,胃瘻を安全に行える状態であるかどうかの確認を行う.医師・言語聴覚士による摂食・嚥下機能のスクリーニング評価(反復唾液飲みテスト・改訂水飲みテスト・フードテスト),必要があれば,VE/VFを行い,胃瘻造設の可否を判断する.胃瘻造設目的で入院した患者でも,胃瘻が不要で,積極的な摂食・嚥下リハで食事摂取が可能となった場合も多い. |
Q2 |
脱胃瘻はどんな患者に行うのか? |
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一度,胃瘻を造設すると腹部の瘢痕,胃壁と腹壁との癒着は残る.抜去後,再造設にならないよう,造設時と同じ慎重な判断を必要とする.脱胃瘻を勧めるのは,3食完全に食事摂取が可能となった,比較的年齢の若い患者であるが,当院の場合,造設時の平均年齢がすでに80歳を超えており,食事がとれるようになっても体調不良時の水分補給目的や,薬の注入目的のみに胃瘻を残す場合が多い. |
Q3 |
胃瘻脱却の成功のコツは? |
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毎日少量ずつ摂取量を上げていくこと.誤嚥性肺炎などを併発すると,さらに食事摂取が遠のくため,介助時に決して無理をしない.コツは,焦らず,好きな料理を段階に応じた嚥下食にして,少量から食べてもらうことである. |
Q4 |
胃瘻脱却が困難だった患者へのリハの工夫は? |
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胃瘻脱却が困難な時は,病状の悪化・進行が基礎にあることが多い.このような場合のリハとしては,・覚醒に対するアプローチ,・肺炎などの感染を予防するアプローチ,・間接的嚥下アプローチが必要となる.いずれのケースでも,1セラピスト対応よりもジョイント・アプローチが有効である.また,リハスタッフのみのアプローチでは十分対応できないため,病棟スタッフとの密な連携が必要である. |
Q5 |
胃瘻脱却に向けた展望と課題は? |
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胃瘻を脱却することが目的ではなく,胃瘻を利用しながら一口でも多く口から食べることが目標である.胃瘻造設前に嚥下訓練の効果がある程度期待できる症例と期待できない症例を予想し,家族に十分説明しておくことが必要である.逆に,短期間で胃瘻が抜去できるような症例は,胃瘻のメリットよりもリスクのほうが大きいと判断し,間欠的経管栄養法を選択している.本人だけでなく,家族からも胃瘻をしてよかったといわれるような胃瘻造設後のリハ・胃瘻管理を行っていくことが大切である. |