急性期病院におけるリハ戦略(4) 急性期から緩和ケアまで:NTT東日本関東病院 |
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稲川利光 |
key words 急性期リハビリテーション 脳卒中センター 廃用症候群 緩和ケア |
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内容のポイントQ&A |
Q1 |
リハ部門の概要は? |
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稼動病床数606床で,平均在院日数は11.6日の急性期病院である.リハ科は急性期の脳血管障害等と運動器疾患のリハを行う一方,廃用症候群などへのリハを行い,その件数は年々増加している.平成17年に脳卒中センターを開設.廃用症候群や緩和ケアを含めた院内全科に及ぶリハを積極的に取り入れ,セラピストはこの3年間で6名から24名にまで増員.現在,1日に200名近い患者にリハを提供.訓練室はPT室:300 m2 ・ OT室:100 m2,その他ST室など.施設基準はPT・OT・STともに脳血管疾患等I・運動器疾患Iを得ており,平成18年9月に日本リハ医学会の研修施設として認可された. |
Q2 |
診療報酬の改定が与えた影響は? |
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平成20年度の診療報酬の改定で,リハ施行単位当たりの点数が減ったが早期リハビリテーション料(30点)が加わったことで,わずかに増収の見込みである.廃用症候群としての点数請求が今後どのように算定されるかは,病院や医療のあり方を左右し,患者の生活を変える重要な問題である. |
Q3 |
急性期リハの具体的な進めかたは? |
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・平成17年5月に脳卒中センターが開設され,脳外科・神経内科・リハ科などの各科の医師および看護師・PTなどコメディカルを含め全員でカンファレンスを行い,発症当日ないしは翌日からリハを開始している.血栓溶解療法の患者はすでに60例を越え,自宅復帰率も向上した. ・廃用症候群に対しては,各階の病棟担当のセラピストを決め,毎週1回看護師とリハ対象患者のカンファレンスを行うようになった. ・褥瘡対策チーム,NST,リスクマネジメントなどの活動にリハスタッフがかかわり自らの職域を広げている. ・緩和ケア病棟(28床)の入院患者に対し,積極的にリハを施行.座位がとれたり,車椅子に乗車や歩行ができるようになり,外出や外泊が可能となったり,一時的にでも退院できる患者がいる. |
Q4 |
急性期リハの将来展望と課題は? |
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・超急性期から廃用症候群,緩和ケアを始め終末期におけるリハを今後も継続する. ・院内全科を対象に患者にふさわしいリハを提供する. ・他科との連携,特に看護師との連携を強化し,各病棟担当のセラピストの専属化を検討する. ・スタッフの増員をメドに訓練室中心の訓練から病棟の訓練へと訓練体系を整備する. ・急性期から在宅に復帰する患者が多く,在宅支援に向けた取り組みの強化が課題である. |