寛骨臼回転骨切り術(RAO)を受けた患者の生活 |
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小山友里江 宮下光令 数間恵子 高取吉雄 |
key words 寛骨臼回転骨切術 Quality of Life Activity of Daily Living SF-36 CES-D |
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内容のポイントQ&A |
Q1 |
寛骨臼回転骨切り術(RAO)とはどんなコンセプトの手術か? |
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臼蓋形成不全は股関節痛を起こす疾患であり,変形性股関節症へと進行する.RAOはこの疾患に対する再建術のひとつであり,寛骨臼の周囲で骨切りを行い,可動性を得た寛骨臼を移動して大腿骨頭の被覆を改善する術式である.股関節痛を緩和するとともに,変形性股関節症への進行を遅延する効果が期待される. |
Q2 |
寛骨臼回転骨切り術を受けた患者のQOL評価,満足度は? |
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SF-36で評価すると,臼蓋形成不全が片側罹患か両側罹患かで若干異なる経過を示すが,ともに術後約20年にわたり国民標準値(一般人)と大きくは変わらない.また満足度の評価では,ほとんどの患者がRAOを受けたことに満足していた. |
Q3 |
寛骨臼回転骨切り術を受けた患者のmental statusは? |
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CES-D の調査からは,抑うつが多く発生しているとはいえない結果であった.しかしインタビュー調査からは,術後1年未満のADLが低下している時期に,精神的に落ち込む患者が複数存在していた. |
Q4 |
ADLを高めるためのアプローチは? |
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インタビュー調査からは,過去にRAOを受けた患者同士で情報を交換する,あるいは同時期に手術を受けた患者とつながりをもつことが,患者のADLを高めることに有効である可能性が示唆された. |
Q5 |
QOLの向上にどうつなげるか? |
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医師だけでなく,看護師,理学療法士,心理士などのコメディカルスタッフも患者の不安やうつ傾向を評価し,その結果に応じてカウンセリングを行う,あるいは他の患者の体験談を聞ける機会を設けるなどの適切な介入をしていくことが,QOLの向上につながるものと考える. |