Q1. |
心不全の病態生理と分類は?
心不全はポンプとしての心機能が障害され,運動耐容能が減少し,悪性不整脈の出現などがある,予後不良の病態である.急性心不全/慢性心不全,左心不全/右心不全,収縮不全/拡張不全,低拍出性心不全/高拍出性心不全などに分類されるほか,重症度分類として,NYHA分類,Killip分類,Forrester分類などがある.
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Q2. |
薬物療法の種類と作用機序,副作用,注意点は?
利尿薬は腎尿細管でNa再吸収を抑制することによって心不全のNa貯留に拮抗する.糖代謝異常,高尿酸血症,低K血症,高脂血症などの副作用がある.強心薬による短期的な運動能の改善は軽症から中等症の慢性心不全では予後を悪化させることが判明している.β遮断薬の作用機序は単一ではなく,また,good responderと反応の悪い群がある.現時点では長期持続型で,β1選択性があり,ISA(内因性交感神経刺激作用)がない薬剤の評価がよい.ACEI,ARB,抗アルドステロン薬は心拍出量低下の代償機序としておこる,RAAS系の賦活化を抑制する.多くのエビデンスにより長期効果の優秀なことが示されている.効果発現の場所により,微妙に作用,副作用が異なる.
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Q3. |
心不全の治療成績は?
ACEIにより,この10年間に慢性心不全の薬物治療は大きな変革を遂げてきている.最近では,ACEIのほかにアンジオテンシンII受容体に直接拮抗するARBがさらに注目をあび良好な試験結果が出された.β遮断薬も多施設研究により死亡率の減少が証明されている.
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Q4. |
運動療法,温熱療法,電気刺激療法,手術療法,再生医療の動向は?
適切な運動処方は拡張期容量,収縮期容量の改善とともに駆出率の改善が期待でき,予後の改善も確認されている.温泉浴あるいはサウナは,前負荷,後負荷減少効果が得られ,危険も少ないとされる.電気刺激は運動耐容能の改善効果,筋力増強とQOLの改善効果が得られ,安全かつ重症心不全患者でも有効である.手術療法では左室形成術が予後を改善する可能性を示唆している.幹細胞を用いた再生医療は注目の領域であり,臨床レベルでの発展が待たれる.
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