Q1. |
高次脳機能障害の診断基準は?
現在臨床的に用いられている診断基準には,高次脳機能障害支援モデル事業,自賠責の基準,労災認定の基準がある.それぞれ基準の解釈に微妙な違いがあるため注意が必要である.診断基準に該当する疾患,除外する疾患を整理しておく必要がある.診断の際,経時的な症状変化を追うことも重要で,疾患・事故の発症時よりも症状が極度に悪化していたり,症状に日内変動があったり,天気により左右されるような場合は受傷後の精神疾患や認知症の発症等を考える必要がある.
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Q2. |
画像診断の有用性は?
高次脳機能障害を評価するための画像診断の有用性としては,(1)鑑別診断可能,(2)急性期で画像所見が乏しいときは,経時変化を追跡し軸索損傷がないか確認可能,(3)損傷部位から症状が説明できるか検討可能,(4)予後予測に利用可能等の点があげられる.
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Q3. |
これだけはしてほしい急性期病院での評価は?
急性期の情報として重要なものに,頭部外傷患者では意識障害の有無とその経時的推移,外傷後健忘の期間がある.Trauma Score〔1分間の呼吸回数/収縮期血圧(mmHg)〕,神経学的所見(麻痺・失語の有無,瞳孔反応・瞳孔径,眼球運動・眼位,末梢神経・脊髄損傷の有無等),随伴外傷,不穏状態の有無とその期間等をなるべく,経時的に詳細に記録しておくことが望ましい.そのほか,簡単な記憶・認知のスクリーニングテストとしてMini-Mental State Examination(MMSE),改訂長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)や,三宅式記銘力検査があり,比較的短時間に可能なため認知リハビリテーションの早期導入の目安として推奨される.
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Q4. |
ディープテストとして用いられる検査とアセスメントは?
高次脳機能障害の診断のためには,1種類の検査ですべての異常がとらえられるわけではない.さまざまなテストバッテリーを行って初めて異常が判明する場合がある.代表的なものは表5のとおりである.患者の日常生活での様子も参考にして,これらをいくつか組み合わせて能力欠損を明らかにすることが重要である.
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