Q1. |
生命・合併症の予後は?
近年下肢切断の原因は糖尿病,閉塞性動脈硬化症に合併する末梢血管障害が多数を占める.末梢血管障害による下肢切断術後に死亡率は経年的に増加し,5年後死亡率がおおむね60〜70%である.高齢,高位切断,腎障害や虚血性心疾患がある者は生存率が低下する.切断術後10〜20%に再手術が必要になり,その頻度は大ル切断より下ル切断に多い.
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Q2. |
機能障害の予後は?
切断は下肢の支持性の永続的な喪失を意味する.義足を装着する以外に下肢の支持性を代償することはできない.年齢,切断前のADL,切断高位,合併症(認知症,脳血管障害,心疾患,閉塞性肺疾患等),残存肢疼痛が機能障害の原因となる.
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Q3. |
ADLの予後は?
高齢者で合併症のある例は歩行不能となる可能性が高く,特に末梢血管障害による切断では加齢とともに能力障害が進行し,転倒の危険性も増加する.健康関連QOLは低下し,特に身体機能項目が低いのが一般的な特徴である.65歳以上の高齢者では,SF-36の8項目すべてが有意に低い.
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Q4. |
社会的不利の予後は?
わが国での職場復帰と社会参加についての調査は少ない.平成16年度の下肢切断者の有効求職者数は約2万人であるが,身体障害者全体の実雇用率は1.46%で雇用の窓口は狭いままである.
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Q5. |
予後研究とリハビリテーション臨床の課題は?
末梢血管障害にともなう切断が増加し,その原因となる生活習慣病に対するリハビリテーション医療へのかかわりが切断リハビリテーションの一環として位置づけられるべきであろう.切断リハビリテーションのエビデンスを構築するためには,切断発生数とその原因,運動機能予後,職業復帰を含む社会参加状況の把握による全国的なデータベース作成が必須であろう.
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