Q1. |
冠動脈狭窄度と発症の関係は?
冠動脈の狭窄度よりもプラークの破裂のしやすさが,心筋梗塞の発症により強く関与する.
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Q2. |
冠動脈疾患の治療法の選択基準と最新事情は?
発症から12〜24時間以内であれば再灌流療法の適応となる.再灌流療法には血栓溶解療法とPCIがあり,ただちに実施可能な場合はPCIを行う.PCIではステントが留置される場合が多い.従来からの薬物治療に加え,ACE阻害薬やβ遮断薬の投与も行われている.
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Q3. |
プロトコール・ステージ進行基準と主な合併症は?
国立循環器病センターでは,(1)再灌流療法が成功しKillipI型で合併症がなく血中CK最高値が1,500U/L以上の急性心筋梗塞症例に対して,14日間クリニカルパスを適用し,(2)再灌流療法が成功しKillipI型で合併症がなくCK最高値が1,500 U/L以下の小梗塞症例に対しては10日間クリニカルパスが適用される.急性心筋梗塞に伴う重篤な合併症(心原性ショック,心破裂,致死性不整脈,死亡等)の多くは発症後約1週間以内に発生する.
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Q4. |
急性期心筋梗塞リハビリテーションの効果は?
急性期心臓リハビリテーションから回復期心臓リハビリテーションへスムーズに移行させ,退院後の心臓リハビリテーションを長期継続することによりAMI患者の長期予後が改善することが多数の前向き無作為割り付け試験のメタ解析により示されている.
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Q5. |
国内外の動向は?
欧米では急性心筋梗塞症の入院期間は通常1週間以内であるため,心臓リハビリテーションは退院後に外来通院型で開始されることになる.
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Q6. |
現状の問題点と普及促進のための新しい工夫は?
AMI後の心臓リハビリテーションは,その有用性が確立されているにもかかわらず,わが国では普及が著しく遅れている.今後は二次予防教育を含めた包括的心臓リハビリテーションを外来通院型として普及させる必要がある.
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Q1. |
プロトコールは?
心臓リハビリテーションで重要なことは,包括的であるということと継続性があるということである,運動療法以外に患者教育を含めた食事療法,禁煙指導,ストレスコントロールなどがある.運動療法は適応と禁忌を明確にして,患者の状態に合わせて個別に処方を組む.
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Q2. |
外来型か入院型か?
入院型は主としてヨーロッパを中心に普及している.外来型はわが国でこれから普及していくものと思われる.
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Q3. |
主な合併症は?
計画的に実施された心臓リハビリテーション(主として運動療法)の合併症の頻度は低い.心循環系事故のみならず,ケガなどの整形外科的合併症の発生にも注意を払う.
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Q4. |
回復期心筋梗塞リハビリテーションの効果は?
運動療法を中心とした多面的効果(pleiotropic effect)が確認されている.集中的な回復期心臓リハビリテーションによる長期的効果も注目されている.
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Q5. |
国内外の動向は?
ドイツでは切れ目のない心臓リハビリテーションが急性期から回復期まで整備されており,そのエビデンスが報告されている.したがって,回復期はもとより維持期においても一定の期間保険診療が認められている.
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Q6. |
復職を念頭にしたアプローチは?
患者の運動耐容能と職業の内容を考えた指導が必要である.METsを指標にして指導する.
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Q7. |
現状の問題点と普及促進のための新しい工夫は?
わが国では回復期の心臓リハビリテーションの実施率が非常に低い.わが国独自のエビデンスの確立と医療関係者の理解を得る努力と一般市民へのアピールが重要であろう.心臓リハビリテーション指導士の普及と質の向上を含めた心臓リハビリテーション学会の活動が鍵となる.
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