Q1. |
頸のすわり・座位のとらえ方は?
脳性麻痺児の定頸はその後の発達に大きな影響をもつ.低出生体重児では反り返りのため頸のすわりはもちろん両手を合わせることが困難で,下肢に鋏状肢位(scissors posture)をきたして,歩行が困難となる(痙性両麻痺).また不随意運動が強いタイプでは,頸のすわりが得られないため四肢・体幹にも不随意運動や不安定性が残る(アテトーゼ型四肢麻痺など).
座位に関しても,それが可能となれば日常生活動作の自立に大きな進歩をもたらし,呼吸機能の向上などにもつながる.早期治療において頸のすわりや座位の獲得は重要な目標である.
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Q2. |
原始反射・姿勢・筋緊張の関係は?
原始反射が抑制され,正常姿勢反応が発達するにつれて,背臥位から腹臥位,座位,立位へと発達していく.また全身的姿勢緊張は新生児期では屈曲緊張が強いが,徐々に弱くなる.かわって伸展緊張が漸増してくるが,生後9カ月頃から減弱していく.しかし脳性麻痺では原始反射の残存,漸減すべき全身的伸展緊張が逆に強くなる場合が多い.
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Q3. |
タイプ毎の姿勢の特徴は?
痙性四肢麻痺や痙性両麻痺では一般に全身的伸展緊張の影響を受けた姿勢をとる.アテトーゼ型は四肢麻痺であり非対称性緊張性頸反射の影響を受けていることが多い.アテトーゼ型やdystonicな四肢麻痺では足部の随意性が残存していることがあり,歩けなくても車いすの操作を足でおこなえる人がいる.
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Q4. |
成長にともなう変化は?
重症度にもよるが,幼児期後半には,四肢の拘縮は機能的拘縮から器質的拘縮に変化していく.早期からの(リ)ハビリテーションにより,鋏状肢位は減っているが,crouching posture は残り,麻痺性の股関節脱臼,麻痺性側弯症に対するアプローチが必要となる.四肢・体幹の変形・拘縮・脱臼の進行防止のための運動療法,装具療法,そして手術が必要となる.成人期になれば頸椎症・頸髄症や変形性関節症への対応が要求される.ボツリヌス毒素の筋肉内注射の有用性も散見されるようになる.
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