Q1. |
透析患者の就労,雇用の現状は?
就労率(収入のある仕事)は全年齢でみると男性で50.2%,女性で18.6%である.女性の場合は「家事・家事手伝い」が労働形態として多い.透析患者の就労率は身体障害者としては高いものの,その就労による年間の収入は非常に低い.
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Q2. |
就労に影響する要因は?
社会的要因としては,会社での解雇,再就職の困難さ,給与の減額,地位の凍結,経済的不安,通院や送迎などの問題がある.身体的要因としては,ブラッドアクセス,運動機能低下,高齢化,貧血,糖尿病合併症,透析療法合併症などの問題がある.精神的要因としては,長期延命の不安,死の恐怖,合併症やシャントトラブルの心配,医療スタッフとの人間関係,通院に対する不安,加齢にともなう要介護への不安などの多くの問題がある.
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Q3. |
在宅透析の意義と問題点は?
在宅透析の意義としては,身体活動度の高い透析患者に対しては施設血液透析(CHD)よりもさらに完全な社会復帰を可能にすることであり,一方,身体活動度が低い透析患者に対してはQOLや生命予後にもよい結果をもたらすことである.問題点は,透析療法の導入教育訓練と自己管理が必要であり,透析施行時に医療者がそばにいない点である.
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Q4. |
透析患者への社会保障制度は?
医療保険・老人保健の長期高額疾病の高額療養費支給制度により,特定疾病療養受療証の提示で高額療養費の自己負担額は1カ月1万円となる.この1万円と食事医療費の一部負担を軽減する方法としては,更生医療(育成医療)や心身障害者医療費助成制度がある.所得の保障制度としては,障害年金や生活保護がある.
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Q5. |
高齢透析患者への介護保険サービスの現状は?
40歳以上65歳未満の透析患者では,介護保険を取得している患者は6.5%にすぎない.一方,65歳以上の透析患者では,介護保険を取得している患者は31.3%にのぼっている.就労・家事を両方とも行っていない患者では,要介護3以上の高い介護度で介護保険を取得している患者が多い.
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