Q1. |
他の病態と合併して起こる正常圧水頭症の見分け方は?
病歴がポイントである.くも膜下出血,脳室穿破した脳出血,髄膜炎など,髄液の吸収障害をきたす疾患の既往があれば,まず二次性の正常圧水頭症を疑う.これらの既往がない場合は特発性の正常圧水頭症ということになるが,治療手技という点では同じである.
|
Q2. |
鑑別するには(特徴的な歩行障害,認知障害,排尿障害)?
定義上,正常圧水頭症の最も確実な診断はシャント手術を行って症状改善が得られたか否かである.術前に症状改善を予測する方法としては髄液排除試験が最も有用とされている.特発性正常圧水頭症において臨床症状と画像上の脳室拡大だけで診断するのは困難である.二次性正常圧水頭症は病歴と臨床症状,画像上の脳室拡大で診断が容易である.
|
Q3. |
鑑別診断は(画像所見の重要性は)?
アルツハイマー型痴呆や脳血管性痴呆といった他の痴呆を呈する疾患はシャント術による症状改善が期待できないため鑑別が必要となる.この際,水頭症による脳室拡大と脳萎縮による二次的な脳室拡大を鑑別することが画像診断において重要である.MRI冠状断で特徴的な所見が指摘されている.
|
Q4. |
いつ頃症状が発現するのか?
二次性正常圧水頭症は原疾患の発症から数週間から数カ月で症状が現れてくる.特発性正常圧水頭症については,現在,自然経過や経時変化が不明なため,症状の発現時期は不明である.しかし,3徴候のうち,歩行障害が先行し,その後に認知障害や排尿障害が出現するというのが一般的である.また,治療により改善する順番も同様とされている.
|
Q5. |
これは水頭症ではないかと脳外科に問い合わせるべき徴候は?
特発性正常圧水頭症においては,ガイドラインで示すpossible iNPHに該当する場合に手術適応の検討がなされる.髄液排除試験で症状改善が得られprobable iNPHに至れば,シャント手術により改善が期待できるとして脳外科に手術を依頼すべきである.髄液排除試験を脳外科で行う施設においてはpossible iNPHの段階で紹介するのがよい.
|