Q1. |
末梢循環障害の診断と治療法の選択は?
末梢循環障害の診断は下肢の脈拍を触知することが基本である.下肢ASOが疑われた場合は,API,トレッドミルを用いた近赤外分光法検査,レーザードプラー皮膚潅流圧測定,Duplex
scan,CTアンギオ,MRアンギオ,IADSAなどの機能検査,形態学的検査により確定診断する.
ASOに対する外科的血行再建術は,劇的に患者の症状を改善できる最後の切り札であるが,侵襲もあるため,患者の状態によって,治療方法を選択することが重要となる. |
Q2. |
Limb salvage治療(surgery)の原則は?
外科的血行再建が基本原則であるが,壊死の状態で有効な処置ができない場合は一次切断も考えざるを得ない.血管新生療法が新しい治療方法として注目されているが,その有効性や適応が明らかになるには治験例の集積を待たねばならない. |
Q3. |
Limb salvage治療のリスクと合併症は?
動脈硬化症は全身疾患であり,下肢に虚血症状が出現している場合は,脳血管障害,虚血性心疾患を合併する頻度が高くなる. |
Q4. |
Limb salvageと運動療法は?
重症虚血肢患者は運動療法自体が不可能である.間歇性跛行段階で運動療法を行うと,将来下肢切断になる率を下げることができるというエビデンスはまだない.
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Q5. |
Limb salvageの治療成績は?
血行再建可能な症例では救肢成績も良好である.しかし,重症虚血肢を持つASOの遠隔生存率は不良であり,その死因の多くを循環器系疾患が占めている.動脈硬化進展の予防に向けての対策が重要である.
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Q6. |
切断の決断,タイミングと切断部位は?
切断の決断,タイミングと切断部位は全身状態の改善と下肢の機能回復とに分けて考える.全身状態の改善の観点では,壊死組織への感染合併による全身状態の悪化防止,虚血疼痛の改善が重要である.下肢切断を行うことで,早期に良好な断端を作り,義肢装着により歩行機能を回復することで日常生活への復帰を目指す.
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