Q1. |
いつ頃から始まり,どのように発展してきたか?
「疼痛制御」は古代からの医学的な命題であるが,近代麻酔科学的な治療応用は18世紀より始まり,その後,戦争における戦傷者の疼痛制御を目的に発展してきたものと考えられる.「筋肉の痙縮や不随意運動の制御」については歴史が浅く,20世紀後半から本格的な臨床応用が開始され,現在ではボツリヌストキシンの眼瞼痙攣,片側顔面痙攣,斜頸に対しての適応が保険認可されている.しかしながら,この分野においては症状の緩和と原疾患のかかわりから適応認可が慎重になっており,今後さらなる治療適応の検討が必要であると考えられる. |
Q2. |
効果と注意すべき点は?
神経ブロック治療は対症療法でありながら多様な疾患にさまざまな治療効果を示す治療法である.しかし,神経ブロック治療は疾患に対する根治的療法ではないという点に留意すべきである.また,特に筋肉の痙縮や不随意運動の制御においては,症状の緩和が原疾患の増悪につながることがないか十分に考慮する必要がある. |
Q3. |
リハにおける位置づけは?
上肢の疼痛のために松葉杖をにぎれない.このような患者の疼痛を神経ブロック治療で緩和させることで杖の操作性を向上させ歩行距離を伸ばすことが可能であれば,リハ治療として神経ブロックは積極的に行うべきと考えられる.しかしながら,下肢の疼痛に対し神経ブロック治療で疼痛を除去したところ足底潰瘍が悪化し歩行できなくなった.このような事態はリハ治療として絶対に避けなければならないものと考えられる.「症状を緩和させる」,「生態防御反応としての症状を残存させる」,これらにより得られる日常生活機能の向上について十分考慮しながら神経ブロック治療を施行することが,リハにおける神経ブロック治療の重要性と考えられる. |
Q4. |
最近の研究動向は?
「疼痛制御」の神経ブロック治療においては,手技と適応疾患はほぼ確立されたと考えてよいものと思われるが,RSDなどの治療においては,今後更なる治療効果が期待される.また,「筋肉の痙縮や不随意運動の制御」では,症状を緩和することで患者のADLを改善することが可能な疾患が多いと考えられ,今後さらなる適応拡大を図ることが重要であると考えられる. |