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「平成22年度春期 第55回日本歯科理工学会学術講演会」開催される

 

 4月17日(土),18日(日)の両日,タワーホール船堀(東京都江戸川区)にて標記大会が開催された(大会長:楳本貢三氏/神奈川歯科大学生体材料器械学講座生体材料器械学分野).今回は特別講演1題,公開シンポジウム1題,一般講演27題,ポスター発表73題のほか歯科器材メーカー9社による企業展示が行われ,歯科大学関係者らを中心に延べ500名が参加した.

 

 初日に行われた特別講演では,「噛むチカラで脳を守る」(座長:楳本氏)と題して小野塚 實氏(神奈川歯科大学生体機能学講座生理学分野)が登壇し,85歳以上で4人に1人が認知症の症状を有するわが国において,これから高齢社会を迎えるにあたり認知症対策は最も喫緊の課題であると指摘したうえで,認知症予防には咀嚼が一定の成果を果たすことを示した.小野塚氏は冒頭,海馬や大脳皮質など脳の仕組みを紐解きながら認知症に至る過程を解説し,加齢によって誰にでも認知症になる可能性があることを強調.認知症の高齢患者が適合性に優れる義歯を装着したことで症状が改善された例や,チューイングガムを噛むことによって高齢者は海馬と前頭前野が活性化し,記憶力向上が図られるという検証結果を挙げながら,咀嚼の有効性を提示した.さらに,日常生活において食事(咀嚼行為)をする際は,会話をとおしてさまざまな情報を取り入れ脳が活性化することから,人とコミュニケーションをとりながら行うことが肝要であると述べた.

 

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2日目に行われたDental Materials Adviser/Senior Adviser(実績に応じて与えられる同学会の名誉称号)特別セミナーを兼ねた公開シンポジウムでは,「2003年から2009年に於けるビスフェノールAの生物学的安全性―特に世代を超えた作用と歯科用医療機器との関連―」をテーマに,亘理文夫氏(北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座生体理工学教室)を委員長とする同学会内の歯科器材調査研究委員会が行った,化学物質ビスフェノールA(以下,BPA)に関する研究結果報告が行われた(座長:亘理氏).

はじめに川口 稔氏(福岡歯科大学歯科医療工学講座生体工学分野)が登壇し,これまでの耐容一日摂取量よりも低用量のBPA暴露(化学物質と生体の外部境界との接触)でも臓器への影響などが見られるとした論文が相次いで発表されている現状と,実験方法や評価方法が統一されていないという問題点を概説.続いて平林 茂氏(鶴見大学歯学部歯科理工学講座)が,BPAを原料とするコンポジットレジンを用いた補綴物から唾液中へのBPA溶出試験結果などを供覧し,歯科材料からのBPA溶出に関しては溶出量が耐容一日摂取量を大幅に下回るため,問題視する必要はないのではないかとの見方を示した.本郷敏雄氏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体硬組織再生学講座分子情報伝達学分野)は,BPAに対する各国の対応として,日本やイギリス,フランスなどでは成人に対するBPAの毒性に関して問題ないとしている一方,カナダでは予防的措置としてBPAが原料のポリカーボネイト製のほ乳瓶の輸入および販売を禁止している現状を紹介した.3名の講演後に共同研究者の今井弘一氏(大阪歯科大学歯科理工学講座)と日景 盛氏(北海道医療大学歯学部クラウンブリッジ・インプラント補綴学講座)を加えて行われたディスカッションでは,「BPAに関する論文は玉石混淆であり,現時点でBPAの影響について断言するのは時期尚早と思われ,今後も動向を注視していく必要があるでしょう」(川口氏)など慎重な意見が相次いだ.

※本大会に関しては月刊『歯科技工』6月号にて編集部による取材記事を掲載する予定です.

 

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