6月27日(土),28日(日),アクロス福岡(福岡市)にて,標記大会が「国民のQOLを高めるために-歯周治療とインプラントの現在・未来-」をテーマに開催された.
初日午前に行われた歯科衛生士セッションでは,伊藤ゆかり氏(北海道・かんざわ歯科クリニック),山口幸子氏(東京都・寺西歯科医院),大野幸恵氏(愛知県・まさき歯科),大原知子氏(京都府・四条烏丸ペリオ・インプラントセンター),豊永久美氏(熊本県・東歯科医院)らがブラキシズムやインプラントなどの多彩な要素が加わった歯周病症例を発表.歯周治療においては,歯科衛生士も“炎症のコントロール”と同様に“力のコントロール”にも関与していくべきであることや歯周治療における口腔内のアセスメントの重要性,歯科医師との情報の共有等について,さまざまな角度から言及がなされた.また,つづく「特別講演」では,「歯周インフェクションコントロール 新しい歯周治療の概念における歯科衛生士の役割」と題して,竹内泰子氏(東京都開業)が,歯周環境の生体と細菌のバランスを保ち,生体に侵襲の少ない形で歯肉縁上・縁下の感染のコントロールを行う「歯周インフェクションコントロール」の考え方を解説.歯周インフェクションコントロールで対応した自身の症例やスケーリング・ルートプレーニングと歯周インフェクションコントロールの効果を比較した臨床データの提示を通して,従来の歯肉縁上・縁下の歯石除去を通法とする歯周治療のあり方に一石を投じた.

シンポジウム「重度歯周疾患への対応」では,西堀雅一(東京都開業),浦野智(大阪府開業),大村祐進(山口県開業)の3氏が登壇.
西堀氏は,重度歯周炎患者の歯周補綴ではアンテリアガイダンスを付与し,咬合性外傷のコントロールが重要であることを解説した.咬合性外傷は,軽度の炎症であれば影響は少ないものの,重度の炎症では影響は少なくなく,また少しでも歯周組織を維持する必要があるため,徹底的な炎症のコントロールとともに,咬合性外傷のコントロールが必要であることを強調した.動物実験(インプラントを埋入した後,人工的にインプラント周囲炎または咬合性外傷を生じさせた実験)の結果ではあるが,インプラントが喪失する原因としては,インプラント周囲炎よりも咬合性外傷のほうがはるかに高いとする論文を紹介し,インプラントの場合はそのコントロールが特に重要となる可能性を示唆した.また,天然歯の歯根破折と同様に,咬合性外傷によってインプラント体の破折が生じた症例を提示し,細いインプラントを安易に用いることへの注意を促した.
浦野氏は,重度歯周炎に対する治療のポイントを,デブライドメント,咬合の安定,ポケット除去,メインテナンスに分けて解説した.軽度から中等度の歯周炎であれば,SRPが最も効果的な治療法となるが,6mm以上のポケットになると単根歯であっても効果は著しく下がり,複根歯であれば4~6mmのポケットであってもその効果は乏しく,外科処置の必要があることを述べた.外科処置時には,骨レベルを整え,生物学的幅径を回復させ,清掃しやすい歯周組織の環境にすることがメインテナンスにもつながることを強調した
大村氏は,重度歯周炎の治療では,原因因子や修飾因子を除去するだけでなく,機能・審美・長期安定を得るためには補綴治療が必要となるが,補綴物が新たな修飾因子とならないように設計することが重要であることを述べ,それには,残存歯の状態や配置,歯槽提や顎堤の状態,上下顎や左右側のバランス,欠損部の位置と範囲,隣接歯の状態などを考慮する必要があることを強調した.
その後のディスカッションでは,欠損部に対するブリッジとインプラントの判断基準,補綴物のマージンの設定などについて議論が交わされた.

特別講演「The Evolutlon of Implant Therapy」では,Dr.David L.Cochran(AAP会長)が登壇.インプラント材料や表面性状などの変遷や,インプラント体とアバットメントの境界部の位置が骨吸収に及ぼす影響について解説した.インプラント体とアバットメントの境界部ではマイクロギャップがあり,そこには炎症が生じるため,境界部を歯槽骨頂よりも深く埋入すると骨吸収が大きくなることを述べた.

著名な臨床家やAAP会長の講演ということもあり,会場には多くの歯科医療関係者が参集し,講演に聴き入っていた.