3月29日(日),パシフィコ横浜会議センター (横浜市)にて,藤本研修会2009年OB会総会講演会が開催された.藤本研修会は,実地の歯科臨床に際して“問題解決能力”を高めるために,補綴・咬合,LOT(部分矯正),歯内療法,歯周病の各コースを展開しており,その質の高さには定評がある.本年度のOB会総会講演会では,主宰の藤本順平氏(東京都開業),および同会受講生OBでもある,石井宏氏(東京都開業),岡村光信氏(福岡県開業)による講演が行われた.
講演に先立ち,藤本氏より,2月に米国のシカゴで開催された,American Academy of Fixed Prosthodontics(AAFP),The American Academy of Restorative Dentistry(AARD),American Equilibration Society(AES)の3学会について報告があり,最新の情報を日々収集することの重要性が述べられた.

最初に講演を行った石井氏(米国歯内療法専門医)のテーマは「外科的歯内療法の現在」であったが,「外科的歯内療法」の適応症は一部であり,的確な診断,意思決定,基本コンセプトの遵守,歯内療法の基本技術の習得の上にはじめて成り立つことを述べ,講演の前半では,それらを順を追って分かりやすく解説した.また,後半では,外科的歯内療法の実際を動画を交えてステップ毎に紹介し,会場の注目を集めた.
午後に講演を行った岡村氏(米国歯科補綴専門医)は「All-Ceramics update-Materials sciences and Clinical works」として,近年の審美的要求の高まりから,注目を集めているオールセラミック修復をテーマに講演を行った.まずは,セラミックシステムの歴史的変遷を二つの流れから整理し,アルミナスポーセレンジャケット冠,ガラスセラミックから現在のジルコニアに至る経緯を概観した.さらにそれぞれの材料学的特徴をまとめ,強度や審美性,費用対効果などを考慮した,的確な選択が必要であるとのべ,また,修復物の永続性向上のためには,接着における表面処理が大切であることを強調した.
最後に登壇した藤本氏(米国歯科補綴専門医)は「歯科臨料と歯科医の説明責任“Accountability”」テーマに講演.インプラント治療や審美治療など,患者の要求が高まるなかで,歯科医師には確かな知識と技術とともに,患者自身が適切な判断を下せるよう,正しい情報を分かりやすく説明することが求められていると述べ,患者への説明を十分に行うことで,患者の治療への理解が深まり,協力度も高まったという研究を紹介した.また,患者との関係は一朝一夕に築くことができるものではなく,歯科医師自身が高い倫理観を持ち続けること,また,患者との普段の接し方も重要であると述べた.

(石井氏,岡村氏,それぞれの執筆による連載を『歯界展望』誌に掲載予定)