12月16日(土),野口英世記念会館(東京都新宿区)にて,全国から約150名の参加者を集め,「第8回Dentistry, Quo Vadis?」が開催された.本会は,歯科医療の目標の確立とその目標到達への筋道を検証することを命題に発足した,研究者と開業医からなる学習グループ.「Quo Vadis?」とはラテン語で「どこへ行くのか」の意でキリスト教の故事に由来する.
8回目を迎えた今回は「咬合学の現状と未来像」をテーマに,高添一郎氏(東京歯科大学名誉教授),須田立雄氏(埼玉医科大学ゲノム研究センター客員教授)を座長に迎えて行われた.
まず,「臨床家の立場から」として,川畑仁克氏(岐阜県開業),天沼崇氏(神奈川歯科大),大渕博子氏(東京都開業),竹澤保政氏(京都市開業)の4氏より,主に咬合学の共通言語をもつための定義,診査法,データ集積等に関する提言が行われた.
続いて森本俊文氏(松本歯科大学学長)が「咬合高径,咬合感覚と咀嚼運動」の演題で講演.感覚受容器における筋紡錘の働きなどについて解説した.佐藤貞雄氏(神奈川歯科大学成長発達歯科学講座教授)は「全身における咀嚼器官の役割」と題し,ストレス発散機能としてのブラキシズムにベースをおいた咬合学を詳述.渡邉誠氏(東北大学副学長)は,正常像の理解の重要性を説き,下顎位,咬合接触,咬合力それぞれの現時点で明らかな正常像を示した.板東永一氏(徳島大学歯学部長)は,咬合学の発展のためには咬合の客観的な観察法と記録法の確立が必要とし,コンピュータを用いた咬合可視化装置の開発経緯を解説した.
ディスカッションでは,上記演者に加え,あえて専門領域外の発言者:コメンターとして,山田 正氏(東北大学名誉教授),高橋信博氏(東北大学大学院歯学研究科副研究科長)を交えて活発な議論が繰り広げられ,咬合学の現在の問題点が浮き彫りにされるととともに,理論的体系の構築へ向け確実な一歩が刻まれた.
