1月31日(土),リーガロイヤルホテル(大阪市北区)にて,標記セミナーが455名の参加者を集め開催された.
本セミナーは,サンスター株式会社(大阪府高槻市)とハーバード大学医学部付属ジョスリン糖尿病センター(米マサチューセッツ州ボストン)が共同で研究を進める「ジョスリン・サンスター糖尿病教育計画(Joslin-Sunstar Diabetes Education Initiative)」の事業の一つであり,糖尿病と栄養との関連性,糖尿病と歯周病など口腔内疾患との関連性について,医師,管理栄養士,歯科医師向け教育・啓発セミナーとして企画された.
講師陣には,Dr King GL,Dr Hsu WC,Ms Sophia Cheung(いずれも,ジョスリン糖尿病センター),Dr Van Dyke T(ボストン大),柏木厚典氏(滋賀医大),村上伸也氏(阪大),永田俊彦氏(徳島大),河盛隆造氏(順天堂大),審良静男氏(阪大)を迎え,糖尿病を肥満や食事・栄養といった側面からだけでなく,歯科治療や遺伝子検索,炎症・免疫学的視点からも,最新の知見が紹介された.特に歯周病との関連性について特筆すべき内容をピックアップする.


まず永田氏より,徳島大学内での糖尿病対策センターの設置と,そこでの積極的な歯科のかかわりについて,その概要とこれまでの成果が紹介され,糖尿病と口腔保健を中心とした医療連携の具体例を提示された.
Van Dyke氏は,糖尿病への罹患は歯周病発症のリスクとなり,歯周病に罹患する糖尿病患者は血糖コントロールが難しくなるという,糖尿病と歯周病との相互関連性は十分に明らかになってはいるものの,歯科において重要な関心の一つである,「歯周病治療が糖尿病患者の血糖コントロールに寄与するのか?」という課題については,その間の生活習慣の改善という要素を含むだけに,はっきりと因果関係を証明できていない現状にあることも示唆された.
村上氏は,日本歯周病学会が作成した「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン」を紹介した.特に,歯科治療介入による糖尿病レベル改善の可能性については,現段階でのガイドライン作成にあたってはまだまだエビデンスが存在しておらず,Van Dyke氏の指摘と同様,「太鼓判は押せない」現状にあることを強調された.

いずれにしても,「糖尿病は血管の病気である」との概念の元では,同じく微小血管系により構築される歯周組織においても,生活習慣改善が歯周病予防・改善にとって有意義であることを示唆していることは間違いないであろう.口腔を介して生活習慣そのものに関わることのできる歯科医療への期待を改めて感じさせられるセミナーであった.