予研歯科衛生部設立50周年記念講演会が,11月22日(土),目黒雅叙園(東京都目黒区)にて開催された.
厚生労働省の歯科研究部は,1958年に厚生省の大西栄蔵氏を部長として,品川区の予研(国立予防衛生研究所;のちに国立感染症研究所)内に歯科衛生部として新設された.以来,荒谷真平,浜田茂幸,古賀敏比古,花田信弘の各氏が部長を務め,多くのすぐれた研究者を輩出してきた.2005年には,歯科研究部に在籍していたメンバーの同窓会が口腔保健研究会という名称で結成されたが,今年は設立50周年にあたることから,同研究所に関係した多くの研究者が一堂に会して記念講演会を開催することとなった.
講演会は石井俊文同窓会長(元東歯大教授)の挨拶に始まり,第1部では,石井拓男教授(東歯大)の「口腔保健の半世紀」,鴨井久一名誉教授(日歯大)の「歯周病研究の半世紀」の2題の講演が行われ,口腔保健および歯周病研究の歴史と今日の課題を広い視野から俯瞰するのに絶好の機会となった.
第2部では,「国研における歯科研究の現状とこれから」,「予研から大学へ-歯科研究の現状とこれから-」と題した2つのパネルディスカッションが行われた.はじめのパネルディスカッションは,安藤雄一(国立保健医療科学院),泉福英信(国立感染症研究所),松下健二(国立長寿医療センター)の3氏をパネリストに開催され,国立の歯科研究所における研究の現状とこれからの課題が報告された.次のパネルディスカッションでは,小関健由(東北大),石崎明(岩手医大),高橋一郎(広大),山本松男(昭和大)の,予研での研究生活を経て大学で活躍する4名の教授により,それぞれの研究の歴史とこれからの方向性が語られた.研究にどっぷりと浸ることのできる生活を送ったことのある研究者ならではの,研究への視点と熱い思いは,聞く者に多くの示唆と感銘を与えた.

2002年の厚生労働省傘下の研究機関組織再編に伴い,予研における歯科の研究は縮小を余儀なくされたが,全身のなかでの口腔の役割の大きさが次第に明らかにされつつある今日,「国立の歯科研究所の必要性」(花田信弘教授)が広く認識される日がくることを期待したい.