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LDA第5回学術講演会 Douglas A. Terry講演
「審美修復=色と形の理解+創造力」
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Location: Blogs歯科界ニュース学会・研究会レポート    
2006/11/22 15:24

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 歯界展望をはじめ各歯科雑誌を見ても明らかなように,その規模はさまざまであるが,毎日のように数多くのセミナーあるいは講習会が全国各地で開催されている。いずれのセミナーも,カリスマ講師がそれぞれの強烈な個性とともに,創造力に富んだプレゼンテーションによって受講生を魅了しているものと想像する。筆者が歯科大学を卒業した頃(80年代後半)は,講師が海外のドクターであるだけでも,受講する価値あるものと競って参加申し込みをしたものである。自分が教わってきたことをさらに越えた,今までにない知識が得られるかもしれない,という期待がその背景にあったと想像する。
 さて,第5回を迎えたLDA学術講演会は,メイン講師としてアメリカのDr. Douglas A. Terryを迎えて行われた。彼は,コンポジットレジン修復にかけては世界で3本の指に数えられるとともに,その豊富な知識とありあまる文才には,Practical Procedures & Aesthetic Dentistry (PPAD)誌上で毎月のように触れることができる。
 そのような,ある意味Mentor(指導者)とでもいえる講師を迎えることもあって,講演会当日は開始の1時間以上前から受講者が集まり始めていた。通常のセミナーでは,早めに会場に到着しても,手持ち無沙汰でなんとなくパンフレットを見ながら過ごすのが常だが,そのような受講者の心理を理解しているDr. Terryは,バイオリンとチェロによる演奏をあらかじめ主催者側にリクエストしていた。弦楽器による生演奏は,「今日1日のセミナーはこれまでのものとは何か違うぞ!」という感覚を惹き起こし,新しい知識との出会いを予感させるのに十分なものであった。人間の持つ五感を刺激するプレゼンテーションは,すでにこの時から始まっていたようである。
 セミナーの開始にあたっては,Dr. Terryの講演を何度か聴講したこともあるLDAチェアマンの近藤隆一氏(東京都開業)からの挨拶があった。その中でとても印象的だったのは,「Dr. Terryの講演はビジュアル的なものだけであり,学術的な意味は薄いという中傷も耳にしたことはある。しかし,その人こそ,まず自分で同じようなプレゼンができるのかを問うてみてほしい」という,チェアマンならではの一言であった。その言葉の真意は,プレゼンの開始から直ちに理解できた。視るものを魅了する画像と,それを際立たせるサウンドの協調は見事なものであり,歯科治療では欠かせないはずではあるが,忘れかけていたImagination(想像力)の大切さが次第に喚起されてくるのを感じた。
 セミナーの内容は,審美修復を成功させるために必要な色彩学に関する基礎知識に始まり,形態把握の重要性とともに硬組織と軟組織の調和などに話題が広がり,次々と繰り広げられる症例が目の奥に浸透するとともに,Dr. Terryの言葉が呪文のように心に染み入ってきた。さらに,予防あるいは歯質保存の重要性とともに,修復処置後の永続性の重要性とそのためにやるべきことなど,具体的な事例を交えながらも歯科治療全体にかかわるフィロソフィーを感じるものであった。
 さらに講演は,診断から処置方針の決定,術式の確認と修復終了にいたるまでの各過程を,同行したセラミストの解説を随時加えながら臨床に直結するものとして進められた。特に,材料選択の基準となる基礎的な物性に関する知識あるいは情報収集の重要性に触れながらも,そのような知識の豊富さを前面に押し出すことなく,あくまでも良好な臨床成績を得るために必要なことなのだと強調しつつ,数値の羅列で構成されるプレゼンとは一線を画したセミナーであった。
 修復処置に関する材料学的,あるいは臨床的な知識を十分人もつ者にとっては,Dr. Terryの講演内容は既存の知識あるいはEvidenceの再確認であったのかもしれない。しかし,既知の事実であったとしても,それが臨床といかに直結するものであるのかを学び,さらに演者の歯科に対する強い情熱や真摯な姿勢を目前にすると,新しいものに出会っているように感じてくるのは不思議である。同じ素材を使ったとしても,シェフが違えば出来上がった料理もまた別のものとなるように,既存の知識のようであったとしても,人によってその捉え方は全く異なるのだということが,強く印象付けられた講演会であった。
 講演会に参加するということは,新しいものの見方を学ぶことであり,そしてヒトと出会うことなのだと,認識を強くすることができ,筆者にとっては大きな収穫を得た一日であった。
    (日本大学歯学部保存学教室修復学講座 宮崎真至)

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