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一般社団法人日本デジタル歯科学会 平成29年度夏季セミナー 開催される
 2017年7月30日(日),東京医科歯科大学・鈴木章夫記念講堂(東京都文京区)にて,日本デジタル歯科学会(理事長:末瀬一彦氏)主催の標記セミナーが「CAD/CAMテクノロジー導入による歯科医院・歯科技工所経営の効率化」をテーマに開催された.CAD/CAMテクノロジーへの注目がますます高まるなか,会場には歯科医師,歯科技工士,メーカー関係者ら約130名が集まった.
会場の様子
 水谷惟紗久氏(日本歯科新聞社/アポロニア21編集長)は,「デジタル歯科が変える歯科医療の経営環境」と題して,歯科経営分野専門雑誌の編集長としての立場から,デジタル歯科の現状について概説した.CAD/CAMシステムの導入によって労働環境の改善などが図れるとする一方,導入に伴うリスクや,リスクマネージメントについても言及した.

 佐々木英隆氏(エスデンタルオフィス/歯科医師)は,「デジタルで変わる歯科診療」とのテーマのもと,CAD/CAMシステムの経営的・臨床的メリットを紹介した.特に臨床的メリットとして,「データを保存可能」「口腔内スキャナーにより嘔吐反射患者などでも印象採得が可能」「安定した品質の材料を加工するため,安定した予後につながる」などを挙げ,患者利益の向上に寄与することを示した.

 垂水良悦氏(札幌デンタルラボラトリー/歯科技工士)は,「ラボワークでのデジタル化による恩恵と留意点」をテーマに講演した.CAD/CAMシステムの利点として品質の向上や時間短縮による生産効率向上などがあるとする一方,コストや予期せぬエラーへの対応など,導入にあたって留意すべき点も多いと指摘.システムや材料の特徴をよく把握するとともに,他ラボとの協力・連携体制を築くことも重要であると訴えた.

 相原英信氏(医療法人社団英知会/歯科医師)は,「Everybody goes digital!! What’s about you?」と題し,主にインプラント治療におけるデジタル技術の応用について解説.ガイデッドサージェリーシステムの臨床応用の歴史を振り返るとともに,ガイデッドサージェリーの利点や臨床上の注意点を説明した.

 佐藤哲也氏(ケイテックス/歯科技工士)は,「デンチャーワークのデジタル化によるメリットとリスクマネージメント」と題して講演した.CAD/CAMによって生産効率が上がり,受注可能な仕事の量が増える分,機械の故障によって製作が滞った際のリスクも大きいと指摘.その対策として,CAD/CAMを導入しているラボとのネットワークを構築していくことが最大のリスクマネージメントであると訴えた.

 笠原彩花氏(銀座クリムゾン/歯科技工士)は,同技工所の小橋真希子氏,吉岡琴絵氏,石島由季乃氏とともに登壇.「CAD/CAMシステムを事業の中心に完全定時退社を実現する女性だけのラボラトリー」と題して,氏らが勤務する歯科技工所が,CAD/CAMシステムの導入によって非常に効率的な働き方を実践している事例を紹介した.また,「徹夜して作った技工物は,ドクター目線で見れば品質に疑問を投げかけざるを得ない」など,歯科医師・患者目線にたった考え方やコミュニケーションの重要性についても強調した.

 講演後には質疑応答の時間が設けられ,会場や座長から寄せられた質問に対し,各氏がそれぞれの考えを語った.
講演後の質疑応答

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