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第36回日本歯科医学教育学会総会および学術大会開催される
 7月28日(金)~7月29日(土),松本市中央会館(Mウイング文化センター/長野県松本市)にて,標記学会総会および学術集会(大会長:長谷川博雅氏/松本歯科大学)が,「歯科医学教育の国際標準化にむけて」をテーマに開催された.
長谷川博雅大会長
 シンポジウムⅠ(座長:中村浩彰氏/松本歯科大学)では,「大学生の学習スキルを考察する」をテーマに,増田裕次氏(松本歯科大学)が豊かな人間性とプロフェッショナリズムを備える歯科医師となるために,人間力ならびにコミュニケーション能力の向上を図ることを目的に第1学年に行っている「学びへの歩み」必修科目を紹介.ランダムなグループ(7~8人)で寸劇を演じる共同作業によってコミュニケーションの場になっていること,また,毎週自身に起こったこと,次週に目指すものを記載する「振り返りシート」の有効性について発表した.加藤鉱三氏(信州大学高等教育研究センター)は,達成感を感じさせる講義と学習成果の可視化の重要性,「アスリートモデル」として機能させるポイントを提言.点数をつけるだけの試験では意味をなさず,学生が自分をモニターすることを目的に行うべきで,振り返り・分析をさせ,それに対して教師が迅速にフィードバックすることこそが大切であると解説した.田村亮子氏(清泉女学院大学)はITを利用した英文法学習法と学習分析メモについて紹介.三者に共通しているキーワードは「自ら学ぶ」であった.
シンポジウムⅠ
 シンポジウムⅡ(座長:富田美穂子氏/松本歯科大学)では,「アジアの歯科医学教育のグローバル化」をテーマに,4人のシンポジストが登壇.はじめに田口円裕氏(厚生労働省医政局歯科保健課)が「歯科医師国家試験出題基準」が見直されたことに伴い,我が国の歯科医師国家試験の現状について解説.続いてKyu Kyu Swe Win氏(Professor&Head,Department of Oral and Maxillofacial Surgery,University of Dental Medicine ,Mandalay)はミャンマーの,Mohammad Zakir Hossain氏(Department of Oral Physiology,School of Dentistry,Matsumoto Dental University)はマレーシアにおける歯科医学教育について発表した.最後に岩田雅裕氏(フリーランス学顔面口腔外科医)が,カンボジアを中心に中国,スリランカ,フィリピン,ラオス,ミャンマー,ナイジェリア,ブータンなど口腔外科無償医療支援活動を17年間以上行ってきた経験に基づき,ミャンマーとラオスについての歯科医療事情・歯科医療教育について報告した.教育制度,経済状態,医療状況に大きな違いがあること,アジアの地域レベルでの標準化も達成できていない現状に,今後の歯科医学教育のグローバル化に向けた問題点を提言した.
シンポジウムⅡ
 シンポジウムⅣ(座長:片岡竜太氏/昭和大学歯学部,飯島勝也氏/東京大学)では,「地域包括ケアの多職種協働の中で,今まさに『歯科医師』が果たすべき役割は?」をテーマに座長および4人のシンポジストが登壇.飯島勝也氏は「フレイル予防」に対して低栄養を背景とするサルコペニアの問題について歯科が中心となって多職種で立ち向かう必要があると提言.高齢者の食力(ショクリキ)を向上させるためには歯科の力が最も必要でああり,歯科医院でフレイルチェックを行った後,どのように対応していくのか,地域で取り組み「総合知によるまちづくり」を目指してほしいと強調した.その後,多職種の立場から早坂由美子氏(ソーシャルワーカー/日本医療福祉協会),松井由美子氏(看護師/新潟医療福祉大学),杉山みち子氏(管理栄養士/神奈川県立保健福祉大学)が同様に多職種で取り組むことの重要性とともに歯科への期待を力説.窪木拓男氏(岡山大学大学院)からは,ミールランドを模した多職種連携ワークショップの取り組みについて報告があったが,学生教育だけではなく,生涯教育として具体的に学べる機会を増やすことが急務であることを強く感じた.
シンポジウムⅣ
 2日間にわたり,シンポジウム,特別講演,教育講演,一般口演,ワークショップ等すべてにおいて活発な討議がなされ,まさに少子高齢社会に直面し,医療関係者だけでは健康長寿社会を実現できないほど複雑な我が国の課題に地域で真剣に取り組む姿がみてとれた.次回,第37回総会および学術集会は,2018年7月27日(金),28日(土),郡山市にて開催予定(大会長:大野 敬氏).
一般口演の様子
ポスター会場の様子

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