2016/09/12
9月10日(土),11日(日)の2日間にわたり,都市センターホテル(東京都千代田区)にて,標記シンポジウムが開催された(主催:ペンシルバニア大学歯学部).本シンポジウムは,創設から60年以上もの間,歯内療法の研究と臨床を牽引してきたペンシルバニア大学歯内療法学科の,最先端の知見・技術を紹介するものであり,日本では2回目の開催となる.
シンポジウムは,学科主任教授のDr. Syngcuk Kimの開会挨拶で始まり,歯学部長の Dr. Denis Kinaneによる,バイオフィルムが口腔および全身に及ぼす影響・バイオフィルムを構成する細菌叢に関する講演で幕を開けた.続いて,興地隆史教授(医科歯科大)が歯髓における免疫系・再生療法に関する講演を行い,Dr. Bekir Karabucakが外科的および非外科的再根管治療の利点と欠点について,田中浩祐氏(東京都)が疼痛の発生機序・対応法について,石井 宏氏(東京都)が真の患者利益につながる歯科医師の意志決定について,横田 要氏(大阪府)が生物学的地検に基づいた作業終末・作業長の設定について,Dr. Chafic Safi が根管治療の成功率を高める器具や洗浄剤について講演された.
2日目はDr. Meetu Kohuiの根管充填におけるバイオセラミックスの効果的使用法についての講演から始まり,続いてDr. Frank Setzerが最新の外科的歯内療法において用いられるパーフォレーションリペアの材料およびその使用方法について講演された.
午後はDr. Spyros Floratos によるマイクロサージェリーの有効性および臨床例の紹介から始まり,続いての演者であるDr. Syngcuk Kimは“ENDO VS IMPLANT ”の題で講演し,「インプラントは失活歯を置換するものであって,生活歯を置換してはならない」と熱く語った.
本シンポジウムは最新の科学的知見に富む,ハイレベルの歯内療法を学ぶ貴重な機会であった.