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「日本歯科理工学会 平成28年度シンポジウム」開催される
 2016年9月3日(土),東京医科歯科大学(東京都文京区)にて,日本歯科理工学会の平成28年度シンポジウムが「歯科理工学教育を考える-現状と今後の展望-」をテーマに開催された[座長:石川邦夫氏(九州大学大学院歯学研究院生体材料学分野)].本シンポジウムは,「歯科理工学」,「歯科技工学」,「保存修復学」,「歯科補綴学」という異なるバックグラウンドをもつ4名の講師が,それぞれの立場から歯科理工学教育のこれからについて提言を行うというもので,会場には約100名の参加者が集まった.
会場の様子
 河田英司氏(東京歯科大学歯科理工学講座)は,「いつ,何を,どこまで“When”“What”“How”」と題して,長年にわたって歯科理工学教育に携わってきた経験をもとに講演した.現在の歯科理工学教育では,学生が覚えなくてはならない事項が多すぎるために,表面的な知識の暗記に終始してしまっていると指摘.材料の成分・組成などの細かい点にこだわるよりも,原理や理論といった本質的な部分を重視し,学生に考えさせる教育を目指す必要があると訴えた.
 尾﨑順男氏(日本歯科大学東京短期大学)は,歯科技工士養成校の教員としての立場から,「歯科技工士養成における歯科理工学教育の現状」とのテーマで講演した.歯科技工士養成校に入学する学生の多くが文系出身であるために,大部分の学生が歯科理工学に対して苦手意識を抱いていると報告.講義内容の順番を入れ替えて学生が興味をもちやすい内容を先に扱ったり,学生参加型の授業形式を取り入れたりといった,苦手意識解消のための工夫を紹介した.
 桃井保子氏(鶴見大学歯学部保存修復学講座)は「保存修復学教育の立場から」と題して,臨床科目の教育者としての観点から歯科理工学教育への期待を語った.単に大量の知識を覚えさせようとするだけでは学生の理解には結びつかないとして,学生一人ひとりが知識を有機的に統合させられるようになることを目指すべきであると提言.そのためには,歯科理工学と臨床科目が相互につながる授業が必要であるとの認識を示した.
 松村英雄氏(日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座)は「歯科理工学教育を基盤とする歯科補綴学の教育」をテーマに登壇.アメリカの『Journal of Prosthetic Dentistry』誌の用語集を紹介し,日本において当たり前のように使用されている用語が,欧米では廃語やスラングとして扱われている現状があると述べ,国際化が進むなか,歯科理工学・歯科補綴学の分野においても学術用語に関する議論を深めていく必要があると呼びかけた.また,歯科理工学は歯科補綴学の基盤であるとして,歯科補綴学の教育者は常に歯科理工学の最新事情に目を向ける必要があると強調した.
左から,河田氏,尾﨑氏,桃井氏,松村氏
 4氏の講演後にはディスカッションの時間が設けられ,座長の石川氏や日本歯科理工学会理事長の河合達志氏(愛知学院大学歯学部歯科理工学講座)による進行のもと,歯学教育における用語統一の方向性や歯科理工学分野の教科書の選択・活用法などについて,活発な議論が繰り広げられた.

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