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第57回日本歯科医療管理学会総会・学術大会開催される
 7月15日(金)~17日(日),TKPガーデンシティ御茶ノ水(東京都千代田区)にて,第57回日本歯科医療管理学会総会・学術大会が,「これからの歯科医療の質保証」をメインテーマに開催された(大会長:俣木志朗氏/東京医科歯科大学大学院教授).本学会は,日本歯科医学会の傘下21専門分科会の中で「歯科医療」を学会名にもつ唯一の学会であり,歯科医療の最前線で活躍している歯科医師やスタッフ,そして大学教員等で構成されている.

 大会長講演「これからの歯科医療の質保証」では,俣木志朗氏が,近未来の「これからの歯科医療」についても情報発信することが本学会の責務であり,医療職のプロフェッショナリズム,地域包括ケア時代の多職種連携,医療安全,医療訴訟など歯科医療の種々の局面において,「質」の観点から考える機会が得られるよう,本大会のプログラムを構成されたことを説明した.
 特別講演「医療職のプロフェッショナリズムとその科学的基盤」では,野村英樹氏(金沢大学附属病院総合診療部特任教授)が,医療職をはじめとするプロフェッショナルは,個人(ヒト)がもつ道徳性とは別に,その特定の職業をもつ職業人として発揮することが求められ,医療職は,(弱者)保護の道徳性を発揮することが必要であると述べた.また,医療職のプロフェッショナリズムとは,個人として,そして集団として,本当に弱者を保護できる存在となるための努力を惜しまない姿勢を示すことで,社会との信頼関係を築き,維持することであると力強く発信した.

 教育講演①「地域包括ケア時代における医科歯科連携とICT活用~“うすき石仏ねっと”の挑戦~」では,舛友一洋氏(臼杵市医師会医療福祉統合センター長)が,大分県臼杵市内の医療・介護機関を結ぶ情報ネットワーク“うすき石仏ねっと”の事例を紹介した.“うすき石仏ねっと”は,「第8回協働まちづくり」受賞プロジェクト(2016年5月18~20日開催)において準グランプリを受賞している.利用者(市民)が“石仏カード”を提示することで,医療機関のみならず,調剤薬局,歯科医院,介護老人保健施設や介護老人福祉施設などの介護施設,訪問看護ステーション,居宅事業所,消防本部通信指令室などさまざまな機関の情報を共有できるICTシステムである.超高齢社会がますます進む日本において,医療連携ネットワークは劇的に増加しているものの,残念ながら現状では,歯科がネットワークに参加できていない.歯式を他職種が理解できないなど課題はあるものの,歯科がネットワークに入ることが可能であることを示した“うすき石仏ねっと”は,もっとも理想に近い医療・介護・福祉のICTネットワークであると会場から感動の声が多数あがっていた.「効率的な情報共有」「医療資源の有効活用」「疾病予防」「介護予防」「救急活用」「災害対策」「医療費削減」を実現するべく医療・介護・福祉におけるICTの活用が近い将来日本全国にひろがることを期待したい.
舛友一洋氏
ほか会員懇親会への繋ぎとして小野清一郎氏(医療法人社団ビクトリア会小野歯科医院理事長)による「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の真髄に迫る」や東京医科歯科大学歯学部附属病院5S推進委員会による「GO!GO!5S!-はじめようクリニカル5S-」のイブニングセミナーなども企画され,時間を有効に使い充実したプログラムとなった.
ポスター会場の様子
次回総会・学術大会は,2017年7月15日(日)~16日(月・祝),福岡にて開催予定(大会長:西原達次氏).

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