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日本補綴歯科学会第125回学術大会 開催される
7月8日(金)~10日(日),石川県立音楽堂,ANAクラウンプラザホテル金沢(金沢市)にて,「補綴歯科がめざすもの,求められるもの」をメインテーマに,標記学術大会が開催された(大会長:前田芳信氏/大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座 教授).
 臨床スキルアップセミナー「スタートアップ・クラウンブリッジ~補綴歯科治療における材料特性の活用~」では,五味治徳氏(日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学第2講座 教授)および武部 純氏(愛知学院大学歯学部有床義歯学講座 教授)が登壇.クラウンブリッジ補綴には,金属・コンポジットレジン・セラミックスなど様々な材料が用いられているため,それら材料の特性を十二分に理解した上で補綴装置を設計・製作する必要があると注意を喚起.日常の臨床現場で遭遇する様々な症例を代表例として示し,各症状に適した材料の選択基準について解説した.
左:五味氏,右:武部氏
 国際シンポジウム「補綴歯科がめざすもの,求められるもの」では,George A. Zarb氏(トロント大学 教授)およびMichael I. MacEntee氏(ブリティッシュコロンビア大学 教授)が登壇.Zarb氏は,北米にオッセオインテグレーションタイプのインプラントを導入された経緯ならびに変遷について,さらに今後の補綴歯科に求められるものについて解説. MacEntee氏は超高齢社会において補綴歯科がめざすものについて論を展開した.

左:Zarb氏,右:MacEntee氏
 臨床リレーセッション2「インターディシプリナリーデンティストリー-補綴歯科専門医は他分野から何を求められているか-口腔外科,矯正の立場から」では,船登彰芳氏(石川県・なぎさ歯科クリニック),前田早智子氏(大阪府・矯正認定医)および細川隆司氏(九州大学歯学部口腔再建リハビリテーション学分野 教授)が登壇.近年,多様化した患者のニーズに応えるために,補綴治療に加えて矯正治療による前処置や欠損部にインプラント処置を必要とするような複雑な症例が増加しつつある.そのような幅広くまた深い専門知識・技術が求められる症例に対峙した際,各種領域の専門医に協力を要請することも少なくないと氏らは概説.補綴専門医が矯正専門医ならびに口腔インプラント専門医にどのような処置を依頼できるのか,同様に各専門医から補綴治療医は何を求められているのかについて語られ,聴衆の関心をおおいに集めた.

左から船登氏,前田氏,細川氏
 イブニングセッション2「骨質研究がもたらす歯科補綴の治療イノベーション」では,加来賢氏(新潟大),石本卓也氏(阪大),佐々木宗輝氏(長崎大)が登壇.「骨密度」とは異なる「骨質」に注目し,骨質を左右する要素であるコラーゲン・クロスリンク,アパタイト結晶配向,骨細胞それぞれに注目した最新の研究を紹介した(座長:黒嶋伸一郎氏・長崎大).
 モーニングセミナー「ファイバーポストによる適切な支台築造」では,坪田有史氏(東京都),田中昌博氏(大歯大)が登壇.坪田氏はファイバーポストをめぐる現状の紹介と,具体的な症例をもとに注意点を述べた.田中氏は大学内でのアンケートをもとに,ファイバーポストをめぐる誤解や正しい情報の必要性を指摘した.最後に座長の志賀博氏(日歯大)が補綴歯科学会における保険収載への取り組みを紹介.指針の作成や診療方針改定セミナーを開催予定であることを述べた.

 次回の学術大会は2017年6月30日(金)~7月2日(日),パシフィコ横浜にて開催予定(大会長/大久保力廣氏・鶴見大学有床義歯補綴学講座 教授).

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