Ishiyaku Dent Web

歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士のポータルサイト

IAT Conference 2016開催される
 2016年3月20日(日)丸ビルホール&コンファレンススクエア(東京都中央区)において日本ピストンリング株式会社主催の『IAT Conference 2016』が開催され,約200名が参集した.
 午前は和泉雄一氏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野)座長のもと,インプラントに関連した歯周組織再生治療研究の第一人者であるDavid M.Kim氏(ハーバード大学歯学部歯周病科)による「骨誘導再生及びインプラント治療の新時代の幕開け」と題した基調講演が行われた.内容はハーバード大学で実際に行われているペリインプランタイティスの治療方法に始まり,歯槽堤の高さや幅が十分でない場合,骨量および軟組織量を増量するためのさまざまな手術手技および骨移植材の紹介,そしてその実践的使い方を詳述.特筆すべきはFDAで認可されている①組換えヒト血小板由来成長因子-BB(rhPDGF-BB),②組換えヒト骨形成性タンパク-2(rhBMP-2),③組換えヒト骨形成タンパク-7(rhBMP-7)の3種類のヒト組み換え体タンパク質製品の紹介で,それらを同種移植骨片または異種移植骨片および人工材料と合わせて使用することによって治療過程を促進し,解剖学的に困難な状況での組織再生を可能にした症例が供覧された.
David M.Kim氏
 ランチョンセミナーでは,藤野茂氏(一般社団法人インプラント再建歯学研究会)により,ワイヤ放電加工を施すことで高い骨親和性を実現する特異的表面性状(ED Surface)をもつIATインプラントシステムの20年にわたる疫学統計が発表された.Contact Osteogenesisによる早期のオッセオインテグレーションが可能になり,抜歯即時埋入症例や埋入即時荷重症例への応用範囲拡大等,症例の供覧を交えたIATインプラントの特徴が解説された.
 午後のパネルディスカッションでは,宮崎隆氏(昭和大学歯学部歯科保存学歯科理工学部門)座長のもと,渡邉文彦氏(日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第2講座,公益社団法人日本口腔インプラント学会理事長),栗林伸之氏(神奈川県),梅原一浩氏(青森県),近藤尚知氏(岩手医科大学歯学部補綴インプラント学講座)による講演があった.
 渡邉文彦氏のパートは「信頼性の高いインプラント治療の確立に向けて」と題して,インプラント治療においてトップダウントリートメントが主流になった経緯から始まり,ペリインプランタイティスとインプラント治療受診者の高齢化という二つの問題点を提示.今後はそれらの口腔ケアをどのようにしていくのがベターなのか,日本口腔インプラント学会が他学会や行政と連携し,現状を把握したうえで指針策定を予定しているとまとめた.
 栗林伸之氏のパートでは「インプラント修復の外科的側面」と題し,骨の機能を考慮した新しい外科処置を主眼に,硬組織とインプラントの相互関係に焦点をあてつつ,歯槽堤保存プロセスにおける外科術式に沿った硬組織のマネージメントおよびインプラント周囲組織において重要なインプラント選択や埋入部位の特性,硬組織の増生について考察した.
 梅原一浩氏は「患者のライフステージを考慮したインプラント補綴治療」をテーマに,インプラント治療のみならず歯科治療を受けた患者は必ず経年的に口腔内に変化が生じ,再治療を余儀なくされ,治療時の予測と異なる治療経過を追うことも少なくない.そんななかでインプラント治療に携わる歯科医師がはじめに「予測できること」「予測できなかったこと」を中心に,これから考えていかなければならない補綴治療の適応症について提示した.
 近藤尚知氏は「インプラント治療におけるデジタルデンティストリー応用の現状と今後の展望」と題し,現在の補綴臨床およびインプラント治療に適応されるデジタル歯科技術の紹介に始まり,岩手医科大学歯学部補綴インプラント学講座で検証されてきた口腔内スキャナーの精度に関する研究結果の報告,および今後の補綴歯科臨床の変革と発展に対して歯科医師がどのように対応していくべきかを示した.
 最後に演者全員によるディスカッションが行われ,終了時間を超過するほど熱のこもった討議が行われた.
 参加者にとっては,世界や日本におけるインプラント治療における最先端の知見を得,また今後進むべき方向性と明日からのインプラント治療がどうあるべきかを考える一助となる充実した一日となったことであろう.今後の展開が期待される一日となった.

■他のニュース記事をさがす

日付から記事をさがす
<2024年4月>
31123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
2829301234
567891011
キーワードから記事をさがす

人気の歯科書籍(キーワード別)

歯科雑誌 最新号