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第2回JDA meeting/第2回JDA学術講演会開催される

 9月4日(土),第2回JDA meeting〔主催:JDA(Japan Denture Association.代表:阿部二郎氏/東京都調布市・阿部歯科医院)〕が秋葉原UDX(東京都千代田区)にて,9月5日(日)には第2回JDA学術講演会(協力:Ivoclar Vivadent株式会社)がベルサール神保町(東京都千代田区)にて開催された.

 4日の午前中は阿部氏,田中譲治氏(千葉県柏市/田中歯科医院),Frank R. Lauciello氏(アメリカ/ニューヨーク州立大学バッファロー校)らによる,インプラントオーバーデンチャーをテーマとした座談会が,午後からは歯科技工士のRobert E. Kreyer氏(アメリカ,カリフォルニア州/Kreyer Dental Prosthetics)による総義歯の審美をテーマとした講演が行われた.
 また,夕方からはLauciello,Kreyer両氏に対して,歯科関係のメディアが質問を行うメディアインタビューが催された.
 両氏によれば,
 ・DV(Domestic Violence;家庭内暴力)やドラッグ,移民などアメリカ特有の問題と高齢者の増加とがあい まって,アメリカでも無歯顎者の割合は急激に増加し,歯科大学でも総義歯教育の充実が図られている
 ・かつては総義歯に携わる歯科技工士の高齢化や減少傾向が問題視されていたが,上述のような状況も あって再び総義歯分野に歯科技工士が戻りつつある ・インプラント治療も普及しているが,主に経済的な事情により,フルブリッジではなく,インプラントオーバ ーデンチャー(IOD)が選ばれることも多い
 ・IODのアタッチメントとしては,メインテナンス,リテンションの点で有利なことからロケーターが選ばれるこ とが最も多い
 ・アメリカでは歯科技工士の教育要件がなく,海外委託のみを行っているようなラボも存在する
など,日本とはかなり異なる総義歯を取り巻く状況が紹介され,参加者の大きな関心を集めていた.

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 5日はまず,Lauciello氏が「実践・アメリカの総義歯治療」と題して,アメリカで自身が行っている総義歯製作システム「BPS(Biofunctional Prosthetic System)」に基づく上下顎の印象採得法を解説.開口時に頬筋が活性化し,閉口時に内側翼突筋が活性化するといった筋組織の動きを確実に踏まえて印象採得すべきであることなどを強調した.

 阿部氏は「下顎総義歯の吸着とBPSの融合が日本の未来の補綴を救う」をテーマに,歯科医師,歯科技工士の義歯製作レベルが二極化している現状を指摘し,簡単でスピーディに学べるデンチャーシステムの重要性を訴え,BPSがその役割を担うと述べた.そして,BPSシステムに,下顎総義歯の吸着を目指した自身の理論を融合させた総義歯製作法を紹介した.

 続いて,「超硬質ナノハイブリッドコンポジット人工歯NHC,SR Phonaresを使った歯科技工」と題して,小久保京子氏(東京都世田谷区/エースデンタル)が今夏より発売された人工歯『SR Phonares』(Ivoclar Vivadent)の特長や技工操作について説明した.同製品はインプラントオーバーデンチャーに適した人工歯として従来製品に比べて耐摩耗性に優れるほか,光透過性も高く,ハイレベルな審美性を求める患者のニーズにも十分対応できるとした.

 最後に,亀田行雄氏(埼玉県川口市/かめだ歯科医院)を座長に,「総義歯治療:日本 vs アメリカ」と題してLauciello氏とKreyer氏,阿部氏と小久保氏の4名によるディスカッションが行われた.アメリカや日本の総義歯教育の現状がそれぞれ語られたほか,Lauciello氏と阿部氏が行っている総義歯製作法の対比も行われた.BPSシステム指定の器材を用いているLauciello氏は,阿部氏が考案した下顎印象用トレーについて「非常に使いやすく,レトロモラーパッドが広がりやすい既存の器材よりヒューマンエラーが少ないように思います」と評価した.

 本大会ではそのほか,佐藤幸司氏(名古屋市守山区/佐藤補綴研究室),小久保氏,須藤哲也氏(千葉県松戸市/協和デンタルラボラトリー),佐藤貴映氏(埼玉県和光市/ひかり歯科クリニック)によるテーブルクリニックが行われ,多くの参加者が会場に詰めかけていた.

※本イベントの詳細については『歯科技工』10月号にて取材記事を掲載する予定です.

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