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第24回日本顎関節学会学術大会開催される

 7月23日(土),24日(日)の2日間,広島県民文化センター(広島市)にて「顎関節症の診断・治療のパラダイムシフト」をメインテーマに標記大会が開催された(大会長:丹根一夫教授・広大).
 1日目のイブニングセミナー「顎関節症の痛みにどう対処するか-AAOPの現状と日常臨床-」では,
最初に田口望氏(愛知県開業)よりロキソニン使用で血小板機能障害を起こした重篤な症例を踏まえた問題提起がなされ,次に井川雅子氏(清水病院口腔外科)が「AAOP(米国口腔顔面痛学会)の見解」と題し,アセトアミノフェンとNSAIDsの使い分けについて,処方量の問題から日本では「効かない」と思われがちのアセトアミノフェンも,諸外国ではNSAIDsと同じくらい使用されている現状を紹介した.このセミナーのメインとして,土肥敏博氏(広大名誉教授,日本薬科大教授)が「顎関節痛に対する薬物療法-鎮痛薬の使い方-」と題し,アセトアミノフェンおよびNSAIDsのメカニズムを詳細に説明,副作用,他薬剤との相互作用などの最新情報を紹介した.さらに佐藤文明氏(東京都開業)は,臨床家による顎関節症治療に関し,TCHの是正に注目して解説を行った(座長:中沢勝宏氏・東京都開業,島田淳氏・東京都開業).

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 2日目のシンポジウム1「一般臨床医における顎関節症の治療の現状:診断と治療の要点は?」では,最初に和気裕之氏(神奈川県開業)が「顎関節症患者の初診時における対応-具体的な説明の仕方-」と題し,医療面接による患者情報の把握の重要性を述べるとともに,いわゆる「周辺群」の患者に対しては特に他科との医療連携の必要性を強調した.塚原宏泰氏(東京都開業)は「TCHと運動療法」と題し,術者・患者それぞれが行う運動療法について具体的に紹介,さらにTCHの是正方法についても述べた.高野直久氏(東京都開業)は「スプリント療法」と題し,東京都歯科医師会のデータなどをもとに,スプリント療法の頻度の低さを指摘,コミュニケーションツールとしての有効性など,活用の余地が大きいことも指摘した.藤田幸弘氏(埼玉県開業)は「矯正治療中に顎関節症を発症した場合の対応」と題し,矯正治療中に発症した顎関節症に焦点を絞り,具体的な症例をもとに解説を行った(座長:田口氏,和気氏).

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 顎関節症という多分野が複合的に関わるテーマで,なおかつ研究,臨床の双方の視点が特に重要となる本学会ならではの,充実した大会となった.

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